資源作物 ・ 畜産学コース


作物生産学とは


いったい作物とは何だろう?

農業分野で作物とは、イネ、ムギ、ダイズ、トウモロコシ、サツマイモ、ジャガイモなどの人の毎日の活動エネルギ−と栄養になる有用植物のことをさします。ただし、ダイズを枝豆で、あるいはトウモロコシをスイ−トコ−ンとして収穫すると野菜となり、硬くなって保存のきく状態になった場合には作物とみなせ、単なる便宜的な呼び方でもあります。

作物生産学分野とは何をする分野なのか?

 作物は長い歴史の中で人々や動物の生存を支え、繁栄に貢献してきました。生産量は徐々に増加し、安定的な食料を供給することで人口が増加しました。特に、近代に入ってからの作物生産の向上は目覚しいものでした。その原因は大きく二つあります。ひとつは、高い収穫量をもたらす新しい品種の登場です。ほとんど全ての品種は、熱心な農夫の経験による選抜と、それらの品種を基にした農業技術者による交配(異なる品種の雄蕊と雌蕊の掛け合わせ)で作られてきました。もひとつは、栽培技術の進歩です。肥料や農薬の使用、植え付け方法、植える時期などの栽培技術です。作物の高い生産は、高い生産能力や品質を持つ品種の能力と、それを支える農業技術がなければ達成されることはありませんでした。

 作物生産学とは、大気や土壌などの自然環境に対して作物がどのように遺伝的な能力を発揮し、環境はどのように作物の生産を向上させるのか、すなわち自然環境−作物のインタ−フェ−スの動きを扱う分野です。

作物生産学には何を求められているのか?

 現在、産業革命以降の石炭や石油の大量使用によって、空気中の炭酸ガス濃度が上昇し、また冷蔵庫などを冷やすために使われるフロンなどの放出により、太陽エネルギ−の空への放出が妨げられて気温が上昇しつつあるとされています。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)という機関の予測によると,温暖化により2100年には1990年に比べ地球全体の平均気温が1.4から5.8度上昇すると予測されています.我が国では,20世紀の100年で1度平均気温が上昇し,この上昇は世界平均の上昇の約2倍となります.近年は気温の高い年が多く,低温の年は少なくなっています.温度変化とともに気象が変化して、雨が大量に降ったり、降らなかったり、作物もかってないような急激な環境の変化にさらされる可能性があります。