レーザー光の性質を利用して得られる画像をCCDカメラで撮ってコンピューターで処理すると,固体や液体の表面形状や変形,楽器やスピーカーの振動,液体の粘性,温度・濃度などの分布が非接触で測定できます。本研究室では,各種のレーザー,光ファイバー,CCDカメラなどのオプトエレクトロニクス素子,さらにディジタル信号処理技術や光通信技術を積極的に取り込み,実験室だけでなく,生産現場でも使える新しい計測や情報処理の手法の開発を目指していきます。
ディジタルホログラフィ(DH)とは?
DHの産業応用

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FMCW-DH
距離計測の技術の1つであるFMCW (Frequency-Modulated-Continuous-Wave) を用いたFMCW-DHでは、物体までの距離計測と物体の三次元情報を同時に測定でき、複数物体中から選択的に再生像を取得できます.この技術により接着剤や塗料に対する硬化過程解析、塗膜内の応力解析などの研究を行いました.
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ホログラフィック顕微鏡
新たなインクの開発やインクジェット技術において、インクジェットプリンタの高速印刷や高画質印刷の実現へ応用が期待されるインクドットの乾燥過程をディジタルホログラフィック顕微鏡(DHM)によって定量的に評価を行いました.
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UV硬化型接着剤モニタリング
製品の軽量化・小型化や生産コストの削減のため,紫外線硬化型接着剤が幅広く利用されています.例を挙げれば,スマートフォン等に用いられる液晶ディスプレイや医療現場の注射器の製造などがあります.そのような取り扱いが簡便な紫外線(UV)硬化型接着剤の硬化過程をディジタルホログラフィと分光計測によって定量的に評価を行いました.
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POF
構造体内部の精密部品など数mmの範囲を数十mの横方向分解能で数mの感度で変形を測定する比較的柔軟なエンドプローブの開発を目的として,柔軟性に優れたPOF (Plastic Optical Fiber)イメージガイドを用いてホログラム伝送特性の研究を行いました.
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管内計測
工場や発電プラントの配管設備、工作機械の軸受やエンジンシリンダーのような直管内壁面の検査を目的とした多波長法によるディジタルホログラフィック内視鏡の研究を行いました.
管内に円錐鏡を挿入して測定します.多波長で記録したホログラム再生像から管内壁面の可視化と形状計測を行います.この技術を応用することで工場の配管や自動車のエンジンポート内壁面の形状計測が可能です. -
塗料乾燥モニタリング
DHの技術を応用し塗料の乾燥評価法の開発・研究を行っています.ホログラムを逐次記録し,再生像の位相変化から塗膜の乾燥状態を非接触かつ定量的に評価します.この技術に基づき,企業と共同でディジタルホログラフィック乾燥・硬化評価装置を開発しました.今後は食品・化粧品・医薬品など乾燥メカニズムの情報が求められる分野への応用も検討しています.