島根大学 材料エネルギー学部 千星・林研究室

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研究内容

研究グループの概要

当研究グループは、島根大学材料エネルギー学部に所属し、金属材料の組織・特性の制御についての研究を行っています。

金属材料の様々な特性を最大限に引き出すためには、適切な材料系の選択だけでなく、製造プロセスの最適化による材料組織の制御が重要になります。金属材料の組織を制御するためには物質科学、熱力学、金属組織学、加工プロセス学などの基盤学域を駆使して合金成分と製造工程を設計し、狙い通りのものができるか実証する必要があります。本研究グループでは、鉄、アルミ、銅、ニッケル合金などの実用金属材料の高機能化を目指し、「材料設計・作製」-「組織・構造解析」-「特性評価」を自ら実践することにより総合的観点から材料開発に取り組んでいます。

主な研究テーマ

研究テーマ① 高強度-導電性銅合金の研究・開発

私たちの研究では、銅合金の特性を向上させることを目指しています。銅は電気をよく通す性質を持っていますが、その強度が低いため、特定の用途には不向きなことがあります。そこで、高強度かつ高い導電性を持つ銅合金を開発することで、電気機器や通信機器、電気自動車の部品など、さまざまな産業での利用を広げることを目指しています。この研究により、より効率的で長寿命な材料の提供が可能となり、エネルギーの節約や技術革新に貢献することが期待されています。

関連資料

  • 1600MPa超級の引張強さをもつCu-Ti合金線材の開発
  • 高強度-導電性板ばね材用Cu-Ni-Al合金
  • 熱処理によるコルソン銅(Cu-Ni-Si)合金の組織変化

研究テーマ② 高温構造用ニッケル基合金の強度と熱伝導性の制御

私たちの研究は、高温環境下で使用されるニッケル基合金の特性を改善することを目指しています。ニッケル基合金は、航空機のエンジンや発電所のタービンなど、高温での性能が求められる部品に使用されています。この研究では、合金の強度(耐久性)と熱伝導性(熱を伝える能力)をうまく制御する方法を探求しています。強度を高めつつ、熱伝導性を適切に調整することで、より安全で効率的な機械部品の開発を目指しています。この成果は、エネルギー効率の向上や、より長寿命な部品の提供に貢献できると期待されています。

関連資料

  • Ni基合金の組成・組織と熱伝導性の関係
  • Ni3Al/Ni3V二相合金の組織と強度

研究テーマ③ 実験的アプローチによる合金状態図の提案と検証

私たちの研究室では、合金の性質を理解するために「合金状態図」の作成に取り組んでいます。合金状態図は、特定の温度や圧力の下で合金がどのように変化するかを示す重要な図です。これにより、材料の性質や最適な使用条件を予測することができます。本研究では、「実験的アプローチ」を用いて、合金状態図を提案し、その正確さを実験によって検証しています。簡単に言うと、実際に合金を作って温度や圧力を変えながらその挙動を観察し、得られた結果をもとに理論的な状態図を作り、それが正しいかどうかを確かめるという方法です。例えば、ある金属と別の金属を組み合わせて合金を作り、その状態を温度を変えながら測定します。この実験から得られたデータを使って、合金の結晶構造や融点などの特性を明らかにし、それを基に合金状態図を描きます。この方法で、より正確で実際に使える合金状態図を作り出すことができます。

関連資料

  • 状態図の見方と考え方
  • 抽出分離法を利用したCu-Ti合金の平衡状態図の修正案
  • Cu-Ni3Al擬二元系状態図の提案

研究テーマ④ SAXSによるナノ組織分布の広範囲測定手法の開発

ナノ組織分布は金属強度に強く寄与するため,特に析出強化型の金属材料ではナノ組織分布を制御することが必要。従来による直接的な観察は視野の制限により広い範囲において統計的に測定することは難しく,複合材料など材料自体に強度分布がある場合,ナノ組織分布を測定する手法が必要。現在はX線小角散乱法(SAXS)を用いてナノ組織分布の広範囲における測定手法の開発を試みている。

関連資料

  • S. Lin, H. Okuda, Y. Higashino, K. Matsumoto, S. Kazufumi, Mater. Trans., 61 (2020), 300-304

実験設備(抜粋)

工事中

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