研究内容


様々な電子状態を有するポルフィリン誘導体の合成とその応用

















 生体内に存在する酸化還元酵素にはCytochromeP450やPeroxidaze、Catalaseなどが知られており、その活性中心にはヘムと呼ばれるポルフィリンに鉄イオンが配位した錯体が存在しています。これらヘムタンパク質の違いは、軸位に配位しているアミノ酸に由来しており、それぞれの物性に大きくかかわっています。それらの反応メカニズムとしては、ポルフィリン鉄錯体に結合している配位子交換や鉄イオンの酸化数の変化などがこれまでに検討されています。
 ポルフィリン誘導体にはポルフィリン環から二水素化還元された構造を有するクロリンやポルフィリン環のmeso位の炭素の1つが欠損した構造を持つコロールが知られており、それぞれ光感受性色素として知られるクロロフィルおよび補酵素のビタミンB12として知られるシアノコバラミンの構造と類似しています。
 我々は上記に挙げたようなヘムの模倣体の合成を行い、常磁性NMR測定や極低温下でのESR・SQUID測定によりその電子状態の検討を行うことで、生体よりも高機能なポルフィリン誘導体の創成を目的としている。


水溶性フタロシアニンおよびサブフタロシアニンの合成と光線力学的治療への応用












ポルフィリンやコロール、クロリン、フタロシアニン、サブフタロシアニンをはじめとする環状化合物は特徴的な吸収体(Soret帯および Q帯)を有する。 特に、コロール、クロリンおよびポルフィリン環周辺のπ共役系が拡張された構造を有するフタロシアニンやサブフタロシアニンは、吸光係数が非常に大きい吸収帯を近赤外領域(NNIR:650~2500nm)に持っているため、様々なアプリケーションに有益であり、幅広い分野で注目されている。 フタロシアニンは非常に安定な化合物として知られており、色素材料等には非常に優れた性質を示す。一方で、非常に大きいπ共役系および高い平面性により容易に会合体を形成してしまうため、様々な溶媒に対して難溶性を示す。生体等へ応用する際には、水溶性もしくは極性溶媒に対して高い溶解度を示すことが望ましい。 本研究室では、環周辺にカチオン性やアニオン性の置換基を導入した水溶性フタロシアニンおよびサブフタロシアニンを合成し、光線力学的治療への応用を試みている。フタロシアニンやサブフタロシアニンの共役二量化を行い、二光子吸収材料といった更なる機能化を図ることも目的としている。
詳しい内容は、下のリンク先の「夢ナビ講義」で説明している。

 






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・株式会社フロムページ 夢ナビ編集部「国立大学で工学を学ぼう vol.2」p.172~173