森林学実習IIの紹介

 森林学教育コースの学生を対象に実施されている実習の一つ「森林学実習II」を紹介します。2014年度は島根県益田市匹見町で4泊5日にわたって実施されました。この実習は島根大学匹見演習林を中心に行うものなのですが、アクセス路である国道がここ数年不通になったままなので、実習の一部は近隣のスギ人工林をお借りして実施しています。松江から匹見町までの往路・復路には途中いくつかの見学地に立ち寄ります。工場見学あり、森林調査あり、遠足あり、農村訪問ありと盛りだくさんの内容になっています。この実習の様子を写真で紹介ます。

最初の見学地は中国電力三隅発電所で概要説明を受けています。ここは国内最大級の石炭火力発電所です。なぜ火力発電所を見学するのかと言うと、ここでは木材チップを混燃するバイオマス発電が行われているからです。毎日150トン(工場着重量)の木材チップを発電に使っています。 とても広い構内です。歩いて回ることはできないので、バスに乗って移動します。
火力発電の燃料となる石炭を積んだ巨大な船が接岸しているのが見えました。この発電所は毎日石炭を8,000トン使っていて、その75がオーストラリアから来ているそうです。 宿泊地である匹見峡レストパークに到着しました。緑に囲まれた環境で空気がおいしいです。
写真のコテージに泊まります。夜はおしゃべりをしたりお酒を飲んだり思い思いに時間を過ごしています。 匹見峡レストパークでのある日の夕食です。毎日健康的でおいしい食事が出ます。お水がものすごくおいしいのですが、そばの渓流の水を浄化しているのだそうです。
夜は匹見峡温泉やすらぎの湯で入浴です。ここはマニアの人も絶賛するほどの温泉です。入浴が終わると肌もすべすべになります。 益田市匹見支所内タウンホールで匹見地域の獣害の現状と対策についての講義を受けているところです。匹見町ではクマの出没が増えており実際に事故も発生したそうです。人間と野生動物の共存のためにどうすればいいのか考えさせられます。
   
匹見町は日本有数のわさびの産地です。優良種苗の保存や増殖を行っているわさびバイオセンターを訪れて、わさび生産に関する説明を受けています。 次にわさびの育苗センターを訪れました。ここで栽培された苗は主に町内のわさび農家に販売されています。
私たちがふだん食べているチューブ入りの西洋わさびとは違う本物のわさびがどのように生産されるのか説明を受けているところです。 沢わさび(渓流式)の生産現場を訪れました。わさびの生産には適度な光環境や温度条件が必要になります。ここではわさびのおいしい食べ方も教えてもらいました。
再び益田市匹見支所内タウンホールに戻ってきて匹見地域の振興について講義を受けています。ひきみ田舎体験推進協議会の活動についても説明がありました。 匹見なめこ培養センターを見学しました。ここでは匹見町特産の高品質のなめこが生産されています。
ブナなどの広葉樹を主体としたオガ粉を瓶詰めして培養床にしています。なめこは一つ一つ手摘みで丁寧に集められており、足の長さがそろっていています。 袋詰めされたなめこです。とてもおいしそうですね。全国でここだけしか生産されていない乾なめこをおみやげにもらいました。
安蔵寺山の大ミズナラで樹高30m、幹周4.88m、推定樹齢は600年です。この木にはナラ太郎という名前がついています。ナラ枯れの原因となるカシノナガキクイムシから木を守るためにビニールシートがかけられていますが、この木はすでにいくらか被害を受けています。 スギ人工林に円プロットを設定して毎木調査を行っています。樹高、胸高直径を計測して樹木位置図も作ります。このデータを用いて林分材積を推定します。
ある日の昼食(弁当)です。 デジタルカメラを装着した空撮用のラジコンヘリを操作しているところです。こんなもので空から森林調査ができるなんていい時代になったものです。
小雨の降る中、ラジコンヘリが天高く舞い上がりました。 匹見峡レストパークのバーベキューハウスで、毎木調査のデータの整理と分析を行っているところです。
今年度初めて2人1組で農家を訪れて聞き取り調査を行う農村調査も行われました。 匹見町で問題になっている農作物の獣害問題など様々な質問に答えてもらいました。
 
茅葺屋根の「旧割元庄屋美濃地屋敷」を訪問しました。ここでは日本古来の軸組工法を用いた木造建築がどのようなものであったのかを見ることができます。 とても広いお屋敷の中の様子です。住宅における木材の使われ方が現代建築とは全然違います。
   
ここには林業技術に関する展示も多数あります。写真は「筏流し」と「木馬」の説明です。 中山間地域に関する様々な研究が行われている島根県中山間地域研究センターを訪問して、最初に概要説明を受けました。
   
島根県中山間地域研究センターのロビーにツキノワグマの剥製がありました。本州に住むツキノワグマは体も小さく臆病な動物です。人間が適切に対策を取ることで不幸な事故は減らせるはずです。 農業に被害を及ぼす害獣(イノシシ)を捕獲するためのオリです。
   
第4回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の「審査委員会特別賞」を受賞した須山木材株式会社を訪問しました。ここはプレカットを行っている工場です。 工場でプレカット加工された建築材です。従来は大工さんが手作業で仕上げていた木材の継手部分を短時間で高精度にコンピュータで自動加工しています。

 この実習の2014年度のスケジュールは以下のようになっていました。毎朝早起きをしていつになく健康的な時間を過ごせたように思います。

9月21日(日)
08:15 大学正門前集合
08:30 大学正門前発 貸切バスにて移動
12:00 中国電力三隅発電所着
 ・ふれあいホールにて昼食
13:00 三隅発電所見学
15:00 三隅発電所発
16:50 匹見峡レストパーク着
17:10 匹見峡温泉やすらぎの湯
18:30 夕食
20:00 翌日の実習内容の説明

9月22日(月)

07:30 朝食
08:30 匹見峡レストパーク発 匹見町役場バスにて移動
08:40 益田市匹見支所内タウンホール着
 ・匹見地域の獣害の現状と対策について講義
 ・わさびバイオセンター、改良わさび田見学
 ・タウンホールにて昼食(12時頃)
 ・匹見地域の林業振興について講義
 ・匹見なめこセンター見学
 ・安蔵寺山付近原生的な森林見学
17:00 匹見峡レストパーク着
17:10 匹見峡温泉やすらぎの湯
18:30 夕食
20:00 翌日の実習内容の説明

9月23日(火・祝)

07:30 朝食
08:30 匹見峡レストパーク発 徒歩で移動
08:45 匹見町町有林着
 ・円プロットの設定(バーテックス・GPS)
 ・毎木調査(胸高直径・樹高・立木位置の計測)
 ・匹見峡レストパークにて昼食(12時頃)
 ・15:30 匹見町町有林発 徒歩で移動
 ・15:45 匹見峡レストパーク着
 ・林分データの入力と処理
17:10 匹見峡温泉やすらぎの湯
18:30 夕食
20:00 林分データの入力と処理/翌日の実習内容の説明

9月24日(水)
07:30 朝食
08:30 匹見峡レストパーク発 演習林公用車・レンタカーにて移動
09:00 匹見町内にて山村調査実習
 ・タウンホールにて昼食(12時頃)
17:00 匹見峡レストパーク着
17:10 匹見峡温泉やすらぎの湯
18:30 夕食
20:00 翌日の実習内容の説明/打ち上げ

9月25日(木)

07:30 朝食
08:30 匹見峡レストパーク発 貸切バスにて移動
09:00 美濃地屋敷着・見学
09:30 美濃地屋敷発
 ・途中「道の駅ゆめらんど布野」にて昼食(12時頃)
13:00 島根県中山間地域研究センター着・見学
14:00 島根県中山間地域研究センター発
15:30 須山木材着・見学
17:00 須山木材発
18:00 大学正門前着

戻る