第7回 イネの開花時刻は高温だと早まるのか?(メリーゴーランドのように回るイネを使った研究)

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 研究紹介第5回でオーストラリア・ニューサウスウエールズ州の調査の状況を報告しました.そのときに気温の低い日は午後遅くまでイネが開花しないのに,気温の高い日は正午ごろに開花していることに気づきました.イネの開花時刻は天気,気温,光などの影響を受けることがわかっています.例えば,日本のイネでは晴れた日は午前中にだいたい開花するのに,曇りや雨の日は午後に開花がずれ込みます.温度が高いと開花が早まります.

 オーストラリアのイネは日中かなりの高温になるにもかかわらず,不稔はあまり問題になりません.この理由の一つに温度が高い日は気温が高くなる前に開花し,温度の低い日は気温が十分上がったら開花するのではないかとも考えられます.さらにこのオーストラリアの品種(Amaroo)はそういう気温の変化に敏感に反応して開花する品種かもしれないとも考えました.

 そこで,気温の違いによってイネの開花時刻がどれだけ変わるのか?さらにその反応には品種による違いがあるのだろうかを調査しようとしました.

 イネはけっこう環境の変化に敏感で,人工気象室などに搬入したり,触ったりすると開花を始めることがあります.そこで開花時刻を調べるのに触ることなく調べる必要があります.最近のデジカメはすぐれもので,微速度撮影(インターバル撮影,タイムラプス撮影ともいいます)によって,決められた時間間隔で自動撮影できます.皿にイネを円形20粒播種して,回転台に載せて,連続撮影すれば,一度に最大20個体の開花時刻を一つの処理温度について得ることができます.

 イネの下にある回転台を1分に少しずつ回転させ,カメラが1分間隔で撮影します.

 この研究は2006年度の4回生が行いました.結果は2007年金沢で行われた日本作物学会講演会で発表しました.以下のリンクにそのときの発表内容を簡単に紹介しています.

制御環境下での気温と水稲の開花時刻の関係