第6回 油料作物後編

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参考文献
工芸作物学 栗原浩編 農山漁村文化協会
工芸作物学 西川五郎著 農業図書
バイオマス 奥彬著 日本評論社
作物学事典 日本作物学会編 朝倉書店
有用植物 菅洋 法政大学出版局
作物学各論 石井龍一ら 朝倉書店
あぶら(油脂)の話 藤谷健 裳華房
食用油脂一般 食用油脂 太田静行 学建書院
油脂製品の知識 安田耕作ら 幸書房
さらに知りたい人は
農山漁村文化協会から「そだててあそぼう」という子供向けの絵本の作物のシリーズが出ている.初めてその作物を学ぶ人にはよくまとめられています.油料作物としてはダイズ,ラッカセイ,ベニバナ,ヒマワリ,ナタネ,ワタがでています.
ダイズ ダイズの科学 山内文男・大久保一良編 朝倉書店
    マメと人間 前田和美 古今書院
ゴマ ゴマの科学 並木満夫・小林貞作編 朝倉書店
オリーブ http://www.pref.kagawa.jp/noshishozu/olive/olive.htm
ナタネ 現代農業技術双書 志賀敏夫 家の光協会

A.ダイズ
1.その来歴と世界での生産
学名 Glycine max (L.) Merr. マメ科
 中国東北部原産といわれるが,諸説があり,はっきりしません.
 ダイズの野生種(ツルマメ)は日本にも分布します.しかし,栽培植物化されたのは中国においてです.
  
ツルマメとダイズの写真があります.ほかにもヤブツルアズキ,ノアズキなどの写真もあります.
 中国では5000年前から栽培されたと推定されています.東アジアでは古くから栽培され,さまざまな用途に利用されました.すなわち 食用,豆腐,味噌,醤油,納豆,湯葉などです.たいていの方はご存じだとは思いますが.
 
 日本には弥生時代には中国から伝えられたようです(縄文時代のダイズの炭化物もあります)
 東アジアにはたくさんの品種が分化しています(粒の大きさ,色も様々です)

 ところが,高い含油率(約20%)から搾油用として北米で栽培が増えたのは20世紀半ばごろからです.

 そして,南米(ブラジル,アルゼンチンなど)でも栽培が増加しています.現在,世界でもっとも栽培面積が拡大している作物です.その理由は食用油脂と家畜飼料の両方を得られるからです.ブラジルでは家畜飼料としての大豆粕で牛やニワトリを飼育し,いまや日本に焼き鳥を輸出するようになっているそうです(NHKスペシャルによる).
2.日本でのダイズ生産の現状
 日本は世界第2のダイズ輸入国です.原産地の中国ももはや自給率は50%以下です.こうしてみると石油という油も世界で取り合いになっていますが,食用油も取り合いになりつつあるようです.

 日本でのダイズの消費はその約78%が製油用,約20%が醸造を含めた食品用です.自給率はわずか3%程度しかありません.

表1 ダイズの主要生産国(2006年,FAO統計から)
3.油料作物としてのダイズ
ダイズは油料作物としては含油率は高い方ではありません.含油率は16〜20%程度ですので,絞りかすにも十分な価値があります(タンパク質が豊富に含まれます).

大豆粕の利用
 大豆粕はタンパク質を豊富に含むので飼料としての価値が高いです.ダイズ栽培は食用油生産だけでなく,家畜飼育と結合して初めて大きな産業となったといえます.
  
豆腐や醤油の原料としての大豆粕
  なるべくダイズタンパク質が変性しないように抽出法で搾油します.
国名 輸出量(万t)
1.アメリカ 2547
2.ブラジル 1890
3.アルゼンチン 596
4.パキスタン 255
5.カナダ 47
表2 ダイズの主要輸出国
(2004年,FAO統計から計算)
国名 輸入量(万t)
1.中国 2192
2.日本 441
3.ドイツ 369
4.メキシコ 354
5.オランダ 322
表3 ダイズの主要輸入国
(2004年,FAO統計から計算)
4.ダイズの栽培
 栽培適地 土壌 酸度が弱酸性から中性で養分に富み,排水性,保水性がよいことです.
         pHは6.0〜6.5が望ましいです.

 根粒菌が窒素固定するので,窒素施肥量は多すぎないことが望ましいです.
 アメリカではトウモロコシとダイズの輪作が多いです.
 

 調位運動
  マメ科植物などでは葉が太陽の動きにあわせて動く調位運動がみられます.
ダイズの調位運動の様子(千葉大学での研究)
B.ナタネ
1.その来歴
ナタネはBrassica属に属する数種の作物からなります Brassica campestrisB. oleraceaB. nigra の3つを基本種にして,B. napusB. carinataB. junceaがそれぞれ成立しました.このような数種の作物のうち,油を目的に栽培するものをナタネと総称します.

  B. napusB. campestrisB. oleraceaの分布の重なる北欧で自然交雑によって,生じたと考えられています.
すなわち日本で江戸時代までよく栽培されたB.campestrisに対し,明治時代に日本に入ったB. napusは地中海沿岸からヨーロッパの西海岸に分布を広げたB. Oleraceaと,シベリアからヨーロッパまで広く分布しているB. campestrisの分布の重なった北ヨーロッパにおいて,B. campestrisの異なった型とB. oleraceaとの間で数回にわたる自然交雑によって生じたと考えられています.

 ナタネ種子の含油率は40%程度です.
図3 Brassica属の作物のゲノム構成
日本では江戸時代までは中国経由で伝来したB. campestrisを栽培していました.明治になって菌核病に強く,多収のB. napusがヨーロッパから導入されました.
2.栽培特性
 2つの異なる種からできた雑種なので,いろいろな遺伝子を持っています.そのため気候適応性が大きいです(品種の分化が大きい).
  インドのような亜熱帯からカナダのような冷帯まで広く栽培されています(表4).
表4 ナタネの主要生産国(2006年,FAO統計から)
花芽分化のためには低温を,茎の伸長(抽台)には長日・高温を必要とします.日本では秋に播種し,初夏に収穫する冬作物,一方,北欧では夏作物となります.

在来ナタネ(B. campestris)と洋種ナタネ(B. napus)(表5)
Brassica campestris Brassica napus
主根が太い 主根が細い1.6
密植にしても徒長しない 密植にすると徒長する
花序 つぼみが開花した花の下にある(玉咲き) つぼみが開花した花の上にある(乱れ咲き)
上位葉 抽台した主茎につく上位葉の葉身の下部が完全に主茎を抱き込むように着いている 抽台した主茎につく上位葉の葉身の下部が茎を半分だけ抱き込むように着いている
ワックスがない,淡緑色,非革質 ワックスがある,濃緑色,革質
箒形,短稈 長稈
莢が上向きにつく 莢が横向きにつく
太く,短い 細く,長い
種子 小粒,赤褐色 大粒,黒褐色
収量 低収 多収
含油率 低い(35〜45%) 高い(42〜50%)
耐病性
耐湿性
熟期 早生 晩生
和合性 自家不和合性 自家和合性
表5 B. campestrisB. napusの形態的・生態的違い(志賀敏夫作成)
3.新しいナタネ
もともと菜種油には( エルシン酸 )が多く含まれていました.( エルシン酸 )を多く含む菜種油は機械の潤滑油に向いていたのですが,動物実験の結果,有害である危険性が指摘されました.さらに菜種粕にはグルコシノレートが含まれるので,搾油粕は飼料には向きませんでした.

カナダではエルシン酸もグルコシノレートもほとんどないナタネを育種しました.これをキャノーラと名付けました.これによって,ナタネの食用油としての道が広がり,現在のように世界第3位の油料作物の地位を獲得しました.
3.日本でのナタネの栽培
 もともと水田の裏作として栽培されてきました.在来ナタネは耐湿性が麦類より強い特性を持ちます.江戸時代は煙のでない油がとれたので灯火用としての利用が主でした.
 日本ではナタネ栽培は移植栽培が多かったのでした.(特に水田の裏作).

 しかし,西南暖地では菜種梅雨による品質の低下(とくに菌核病)が問題となりました.そのため明治時代以降は西洋ナタネに切り替わっていきました.日本では東北北部が多収となります.
 ナタネは莢にも高い光合成能力がありますから,開花以降の天気は多収と品質の両面で重要です.その意味では春先に雨の多い日本の気象は不利かもしれません.しかし数ある油料作物の中でも日本にもっとも適した作物のひとつですし,水田の裏作として栽培できるナタネはこれからもっと注目してもいいのではないでしょうか?
4.新しい菜種油の利用
 バイオディーゼルとしての利用
  植物油脂をメタノールで処理して,メチルエステルに変換すると,油脂の3分の1の分子量を持った沸点の低い脂肪酸メチルエステルができます.これは上質な軽油に相当する燃料となります.
  滋賀県などがこの菜種油を利用したディーゼル油を進めています.
C.ヒマワリ
1.その来歴と利用
学名 Helianthus annuus L. キク科
原産地 北米中西部
主な生産地 アルゼンチン,ロシア,ウクライナ
食用には大粒種(含油率10〜20%),搾油用には小粒種(含油率20〜35%)
2.特性と栽培
花序は不稔の舌状花と稔性のある筒状花からなります
おしべが先に熟し,虫媒による他家受精します.

転頭運動をします.つぼみのときに太陽に向かって,花序が運動します.開花後,受精すると,花序は東向きに固定されます.ですので,南北方向に植えて,東に向いた頭花を収穫するのが一般的です.
D.ラッカセイ
1.その来歴と利用
学名 Arachis hypogaea L. マメ科
原産地 南米アンデス山脈山麓,異質4倍体
主な生産地 中国,インド,ナイジェリア,アメリカ
大粒種は食用に,小粒種(含油率50%程度)を搾油用にします
特有の芳香があり,中国料理などでよく用いられます

2.栽培上の特性
熱帯原産なので,高温・多照,適度な降雨を必要とします
発芽適温( 23〜25 )℃

乾燥に強く,葉の海綿状組織に貯水細胞を持ちます

早朝に開花し,自家受粉します
結実にはカルシウムが不可欠で,莢から土の中のカルシウムを直接吸収します

開花後,子房柄が地中に伸び,地中で結実します

土壌カビ由来の発ガン性物質アフラトキシンに侵されることが近年,問題となり,抵抗性品種の育種が進められています.アフラトキシンはラッカセイ以外でも問題となっていますが,熱帯の国々から多くの食品を輸入する日本ではまったく摂取しないですむとはいかないようです.
表6 ヒマワリの主要生産国(2006年,FAO統計から)
ヒマワリ油もバイオディーゼルにできるそうです(基本的には植物油脂なら全部できそうですが)
表7 ラッカセイの主要生産国(2005年,FAO統計から)
E.オリーブ
 学名 Olea europaea L. モクセイ科の常緑樹(樹高7〜10m程度)
 原産地 地中海沿岸(シリアからギリシャにかけて)
 ゴマと並んで歴史の古い油料作物であり,6000年前に小アジアで栽培が始まりました
 果肉に約55%程度,種子中に約13%程度の油脂を含みます
 オレイン酸を豊富に含むことから近年,健康によいとして注目されています

 圧搾法による搾油もあるが,現在は実をすりつぶして,遠心分離するのが一般的です.
 遠心分離して,そのまま食用にできるものをバージンオリーブオイルといいます.オリーブオイルは風味を大切にするので,バージンオリーブオイルは精製しません.規格外はランパンテ(もともと灯火用という意味)と呼びます.ランパンテを精製後,バージンオイルと混ぜたものがオリーブオイルあるいはピュアオリーブオイルといいます.圧搾粕から油脂を溶媒で抽出し,精製後,バージンオイルと混ぜたものがオリーブポマスオイルといいます..
表8 オリーブの主要生産国(2006年,FAO統計から)
F.ゴマ
学名 Sesamum indicum L. ゴマ科の1年生作物
原産地 ナイル川上流と考えられています
 古代エジプト,インドでも搾油されていたくらい,オリーブと並ぶ歴史の古い油料作物です.現在,世界1,2を争う油料作物のダイズとアブラヤシのどちらも20世紀に急速に拡大したのとは好対照ではあります.
 日本にも縄文時代後期には伝播したといわれるのですが・・・

ゴマの種子には約50%の油脂が含まれます.さらにゴマリグナン(セサミンなど)などの成分も健康上,注目されています.ゴマ油の香りは焙煎してから搾油することによって生じます.日本はほとんどすべて輸入しています.でも輸出国も自分の国でも消費するので,日本は少しずつ集めているようです.
縄文時代の遺跡である埼玉県真福寺低湿地遺跡から出土した「アズキ、ソバ、ゴマ、ウリ」は捨てられたらしいです・・・
ゴマの品種
  白色粒 小粒で収量は低いですが,含油率が高く,搾油用とします
  黒色粒 大粒で多収です.含油率は低く,料理用とします

熱帯型と温帯型
  熱帯型は分枝をたくさん生じ,2m近くになります.
  温帯型は130cm前後です(日本では温帯型を栽培します)

 発芽には高温を必要とします(地温20℃以上)
 生育には高温,多日照を必要しますが,乾燥には強いです.
 幼苗期の生育は緩慢ですが,その後は急速に大きくなります.
 日本で栽培するのでしたら,地温を高くするためにマルチを敷くか,砂地を選びましょう.
 生育初期は雑草に弱いので周到な管理をしましょう.大きくなったらほったらかしでもよいでしょう.
 
表9 ゴマの主要生産国(2006年,FAO統計から)
G.エゴマ
学名 Perilla ocymoides L. シソ科の1年生作物
日本で古来から利用された油料作物です.
リノレン酸が多く,酸化されやすい(乾燥性が高い)ので,油紙,傘などに利用されました
近年,リノレン酸を多く含むことから健康面から注目されています.
表1 アブラヤシの主要生産国(2006年,FAO統計から)
A.アブラヤシ
1.来歴など
学名 Elaeis guineensis Jacq. ヤシ科
原産地 西アフリカ
現在の主産地 マレーシア,インドネシア
単位面積あたりの油脂生産量が最も多い作物です
(表2)
2.アブラヤシの栽培特性
一年中,高温を要求する作物です.

  赤道をはさんで(  南北緯10度  )のところが栽培に適しています
  月平均差の最高気温( 29〜32 )℃,最低気温( 22〜24 )℃
  年降水量 ( 2000  )mm以上を必要とします.

気象条件に比べて,土壌と水分についてはココヤシよりは適応範囲が大きいので,海岸部だけでなく,内陸の傾斜地や湿地まで拡大しています.

果実を植えて,育苗→移植します.
  定植後,3年目くらいから収穫可能になります.
  収量は8〜13年目に最高に達し,25〜30年で更新します.
  アブラヤシは100年以上,果実を生産し続けますが,樹高がどんどん高くなり,収穫しにくくなる上,果実生産力も次第に落ちるので,商業栽培ではわりと早めに更新するようです.

 アブラヤシは雌雄異花です.ゾウムシなどを使って,人工授粉することもあります.
19世紀中頃にオランダ人が植民地であるインドネシアに持ち込みました.その個体は今でも生きているそうです.20世紀に入るとジャワやスマトラで大規模栽培が始まりました.
Yusof and Chan (2003)*による.したがって表5と数字は合わない
アブラヤシのパーム油(中果皮油)だけを示し,パーム核油は含まない
*Wahid et al. Plant Production Science 2005, Vol.8(3):288-297から転用
表2 主要な油料作物の生産力と生産量

作物

油脂生産量

(万トン)

油脂収量

t/ha/year

収穫面積

(万ha

ダイズ

2548

0.46

5540

ヒマワリ

963

0.66

1459

ナタネ

1424

1.33

1070

アブラヤシ

2173

3.30

656

花王ケミカルプラザからアブラヤシの説明
3.油脂の搾油
中果皮から得るのがパーム油(油脂を約 50〜 60%含む)です.その生産量はパーム核油の2,3倍あります

種子の胚乳から得るのがパーム核油(油脂を約 50%含む)です.石けんによく利用されます(ココヤシ油に近い性質です)



収穫後,果実の油(パーム油)が酵素の働きで急速に減ります.そこで蒸気処理をして酵素を止めます(スチーミング).その後,果実はすみやかに搾油します.したがって,大規模な経営が有利となります.

花王ケミカルプラザからココヤシの説明
ココヤシについての説明
B.ココヤシ
1.来歴ほか
学名 Coco nucifera L. ヤシ科
原産地 東南アジアから太平洋南洋の島々と考えられています.
現在の主産地 インドネシア,フィリピン,インド
果実を植え付けて6〜7年目から結実し始め,約80年間果実を生産します.
アブラヤシより高緯度で栽培できます(だいたい25度くらいまで)
  年平均気温( 27〜30  )℃,降水量(  1500 〜2000 )mm

2.油脂の搾油

  胚乳を乾燥したものはコプラと呼ばれます.このコプラを搾油します
  コプラに( 60〜70  )%の油脂が含まれます
表7 ココヤシの主要生産国(2004年,FAO統計から)
東北地方のナタネ栽培(農水省東北農政局ホームページから)

国名

収穫面積

(万ha

果実収量

t/ha

果実

生産量

(万t

1.マレーシア

362

20.9

7565

2.インドネシア

412

15.6

6426

3.ナイジェリア

308

2.7

830

4.タイ

38

17.2

652

5.コロンビア

17

19.3

327

6.ガーナ

33

6.3

210

国名

収穫面積

(万ha

収量

t/ha

生産量

(万t

1.インドネシア

265

6.2

1638

2.フィリピン

334

4.5

1496

3.インド

195

5.6

1100

4.ブラジル

28

9.9

279

5.タイ

27

7.0

187

6.ベトナム

13

7.4

98

国名

収穫面積

(万ha

収量

t/ha

生産量

(万t

1.アメリカ

2898

3.0

8767

2.ブラジル

2201

2.4

5236

3.アルゼンチン

1510

2.7

4047

4.中国

910

1.7

1550

5.インド

771

1.1

827

21.日本

14

1.6

23

国名

収穫面積

(万ha

収量

t/ha

生産量

(万t

1.中国

674

1.9

1265

2.カナダ

532

1.7

911

3.インド

728

1.1

813

4.ドイツ

143

3.7

534

5.フランス

141

2.9

.9

414

国名

収穫面積

(万ha

収量

t/ha

生産量

(万t

1.ロシア

594

1.1

675

2.ウクライナ

391

1.4

532

3.アルゼンチン

219

1.7

380

4.中国

103

1.8

182

5.ルーマニア

98

1.6

153

国名

収穫面積

(万ha

収量

t/ha

生産量

(万t

1.中国

468

3.1

1441

2.インド

660

1.1

720

3.ナイジェリア

219

1.6

348

4.アメリカ

66

3.3

219

5.インドネシア

72

2.0

147

国名

収穫面積

(万ha

収量

t/ha

生産量

(万t

1.スペイン

240

2.1

503

2.イタリア

115

3.0

342

3.ギリシャ

80

3.3

266

4.トルコ

65

2.5

160

5.チュニジア

160

0.6

100

国名

収穫面積

(万ha

収量

t/ha

生産量

(万t

1.中国

64

1.0

67

2.インド

190

0.3

63

3.ミャンマー

157

0.4

58

4.スーダン

127

0.2

20

5.エチオピア

28

0.6

17

表10 アマ種子の主要生産国(2005年,FAO統計から)

国名

収穫面積

(万ha

収量

t/ha

生産量

(万t

1.カナダ

80

1.3

108.2

2.アメリカ

39

1.3

50.0

3.中国

57

0.8

48.0

4.インド

64

0.4

23.0

5.エチオピア

22

0.6

12.6

I.アマ
学名 Linum usitatissimum L.  アマ科の一年生作物.
詳細は第8回の講義で繊維料作物として取り扱います.
 亜麻の種子から得た油脂を亜麻仁油といい,リノレン酸を多量に含みます.
 種子は32〜38%の亜麻仁油を含みます.
 塗料,印刷インクなど工業的な利用が多いです.
H.ワタ
 ワタに属する植物は数種が知られます.アオイ科の1年生作物です.詳細は第8回の講義で繊維料作物として取り扱います.
 江戸時代,日本ではワタ種子から繊維をとり,さらに搾油していました.

 毛をとった綿実には油脂が17〜23%含まれます.
 種子にはゴシポールという有毒なフェノール物質が含まれます.
 搾油粕にはゴシポールが含まれるので,家畜飼料とするときは注意が必要です.
 ゴシポールを作らない品種もあるが,虫害に弱く,繊維収量も低いのであまり普及していないそうです.
J.カカオ
学名 Theobroma cacao L.  アオギリ科の常緑木本性作物.
詳細は第10の講義で嗜好料作物として取り扱います.
 種子は30〜50%の油脂を含み,この油脂をカカオバターと呼びます.
 カカオバターは特徴的な脂肪酸組成をしており,融点が34〜36℃程度です.
 カカオバターは高価なので,代用の油脂(ハードバター)もチョコレートなどに混和されることが多いです
 医薬品(座薬,軟膏の基材など),化粧品などの用途もあります.
K.ベニバナ
学名 Carthamus tinctorius L.  キク科の一年生作物.
 詳細は第13回の講義で染料作物として取り扱います.
 油料作物としてはサフラワーとしても知られます.
 高い含油率からアメリカで品種改良されました.
 20〜40%程度の油脂が種子には含まれています.
 深根性で乾燥に強いのでメキシコ,インド,アメリカ(カリフォルニア州)などで栽培が多いです.

 日本では江戸時代,山形県で栽培されました.
 花から染料,口紅を,種子から灯火.食用の油を,油脂を燃やして紅花墨を作りました.

表11 ベニバナ種子の主要生産国(2005年,FAO統計から)

国名

収穫面積

(万ha

収量

t/ha

生産量

(万t

1.メキシコ

21.2

1.0

21.3

2.インド

38.0

0.6

21.0

3.アメリカ

6.5

1.3

8.7

4.カザフスタン

12.0

0.6

7.5

5.アルゼンチン

4.9

1.0

5.1

紅花の歴史文化館からアメリカ合衆国カリフォルニア州のベニバナ栽培
紅花の歴史文化館(山形大学)