第11回 嗜好料作物 その1:コーヒー・カカオ・ホップ

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A.嗜好料作物の特徴といろいろ
1.嗜好料作物
 人間を精神的に興奮させたり,あるいは逆に精神的興奮状態を沈静化させたりする効果を持つ作物が嗜好料作物として利用されるようになったと,歴史的には考えられます.

 嗜好料作物の収穫物には,刺激,興奮および麻酔性の物質が含まれ,嗜好品として,心身の休息の上で欠くことのできないものとなったものです.こうした嗜好品は生活の上では必需品ではありませんし,それどころか体には有害なことも多いのですが,ストレスの多い生活をしているとこういうものがないとやっていけないという意味で必需品になってしまったということでしょう.コーヒー,タバコなどを思い浮かべたら嗜好料作物が人間に対して持っている意味が少しはわかるかもしれません.

 嗜好料作物の特徴は以下の通りです.
1) 栄養的価値が低いことが多いです.緑茶にはビタミンCがありますが,それも別にビタミンC摂取を意図してお茶を飲むわけではありません.タバコなど体に有害なものもあります.

( アルカロイド )を含みます(図1) カフェイン・ニコチン・テオブロミンなど

 特有の香り・風味をもちます ここが嗜好料作物と薬用植物との違いになります.

( 品質 )が特に重視されます.しかも品質といっても,基本的には人間の嗜好という気まぐれなものを相手にしています.例えばデンプン料作物や糖料作物なら対象成分の含有率が品質として重要ですし,ワタなら繊維の長さが重要です.こういう品質なら,科学的に説明できます.人間の嗜好もある程度,科学で説明はできますが,人によって,コーヒーならブルーマウンテン,モカ,キリマンジャロなどの銘柄でどれが好きかが異なります.これを説明するのは容易ではありません.しかし,高品質な生産物は非常に高価な価格で取引されます.ワタにおいて海島綿がいくら優秀でも,リクチメンより何倍もの価格がしたら売れなくなるでしょう.しかし,スーパーや百貨店を見たらわかるように,コーヒー,タバコ,チャなどではいいものはそれこそ驚くような価格がつきます.
2.アルカロイド
植物の二次代謝物質です
 二次代謝は植物の生存には必須ではないので,どんな植物でもあるというわけではありません.

以下,主なアルカロイドを紹介したリンク集です.

ニコチンの説明(Wikipediaより)
カフェインデータベース(英語のホームページですが,カフェイン含有率のリストがあります)
カフェインの説明(リンク)
テオブロミンの説明(リンク)

薬理作用の強いアルカロイドにはほかに,コカイン,モルヒネ,キニーネなどがあります.

アルカロイドとは?
窒素を含む塩基性の有機化合物(高等植物の一部が合成する)です.
ニコチン・キニン(キニーネ)・モルヒネ(モルフィン)・カフェイン・テオブロミン・コカイン・ソラニンなどたくさんあります
植物の( 二次代謝物質 )です.ですから,植物にとって必須のものではありません.
したがって,例えばカフェインを含む植物は少ないのですが,もし人間が見つけたら重宝することになります.
一般にアルカロイドは少量で動物・人間に著しい作用を示します.そして,その作用は嗜好品の刺激・鎮静作用を生み出します.ただ作用は物質によって様々で,モルヒネのように麻薬になるもの,キニーネのようにマラリアの特効薬になるもの,カフェインやニコチンのように嗜好品となるものなどあります.
植物における意義は例えば,虫をよけるというような作用があると考えられます.
3.嗜好料作物のいろいろ
1) ( 喫茶 )用(水や湯で浸出して飲むもの) チャ(茶)・コーヒー・カカオ・マテチャ
2) ( 喫煙 )用(煙にして吸うもの) タバコ
3) 咀嚼用(かんで味わうもの チューイングガムのようなもの)
  ビンロウジュ,コカノキ,コーラノキ
ビンロウジュの紹介(リンク)
4.嗜好品の品質の向上
嗜好料作物から加工して作られる嗜好品においては,( 品種 )・( 栽培 )・( 生育環境 )・( 加工 )・( 貯蔵 )が総合して,その品質が決定されます.これらのどれか一つがかけても品質が大きく下がります.
すなわちブルーマウンテンのような高級品であっても,最後の貯蔵で湿気の多いところに保存したら,収穫までの苦労は無に帰するということです.しかし,生育環境が良質な品種を栽培するのに向かないところの収穫品ではいかに加工に苦労を重ねてもよい品質にはなりません.
嗜好料作物の品質は人間の感覚に大きく左右されるので理論の届きにくい分野,すなわち経験的な要素が大きいといえます.

同じように葉を収穫対象とする嗜好料作物でも,チャでは,うまみ成分であるテアニンを増やすために窒素をたくさん与えます.また若い葉を収穫対象とするので,葉を若く保つことが大切です.

しかし,一方,タバコでは,葉に窒素が多く含まれると喫味を落とします.収穫対象は,成熟した葉なので,円滑な葉の成熟(老化)が必要です.
4.嗜好料作物が世界の貿易に占める地位
 嗜好料作物ならびにその製品の貿易額はかなり大きいです.(2004年FAO統計から計算)
  紙巻きタバコ 131億ドル 葉たばこ 69億ドル 葉巻 14億ドル タバコ製品(紙巻きタバコ以外) 25億ドル(栽培面積394万ha)
  チョコレート製品 118億ドル カカオ豆 42億ドル ココアバター 22億ドル ココアパウダー 17億ドル(栽培面積699万ha)
  コーヒー豆 71億ドル コーヒー抽出物 26億ドル 焙煎したコーヒー豆 20億ドル(栽培面積1038万ha)
  茶 33億ドル(栽培面積254万ha)
  
  それに対して小麦193億ドル(栽培面積2.1億ha),トウモロコシ118億ドル(栽培面積1.5億ha),大豆156億ドルです(栽培面積9000万ha).
 農業における嗜好料作物の重要性が伺えるデータです.
B.コーヒー
1.植物学的分類
 コーヒーもしくはコーヒーノキは,アカネ科Coffea属の常緑樹です.以下の3種があります.

 ( アラビカ )種,( アラビアコーヒー ) Coffea arabica L.
 品質がよいのですが,サビ病に弱い欠点があります.
 4倍体で自家受粉します.エチオピア高原の原産です.

 ( ロブスタ )種,( ロブスタコーヒー ) Coffea canephora Pierr. et Froeh. var. robusta
 サビ病に強く,気候適応性が高く,多収です.しかし,品質が劣ります.インスタントコーヒーでの利用が多いです.2倍体で自家不和合性があります.コンゴ内陸部の原産です.

 ( リベリカ )種,( リベリアコーヒー ) Coffea liberica W. Bull. et Hiern..
 2倍体で自家不和合性があります.西アフリカ海岸部の原産です.品質はよくありませんが,耐病性などを付するために,育種素材あるいは台木にします.
2.コーヒーの歴史
アラビアコーヒーはエチオピア高原の原産で,もともとエチオピア人が食用,のち飲用にしたと考えられています.
エチオピアから10世紀前後にアラブのイスラム教徒へと伝播したといわれています.
16世紀初めににトルコがイエメンなどアラブ一帯を支配下に入れ,トルコにコーヒーが伝わります.
そしてトルコを経由して,ヨーロッパに伝わります.ヨーロッパ人はコーヒーを植民地(インドネシア,セイロン島など)で栽培するようになりました.
しかし,19世紀中頃,セイロン島のコーヒーがサビ病で全滅します.セイロン島は紅茶へ転換します.
インドネシアのジャワ島でもサビ病が蔓延し,アラビア種からロブスタ種に転換しました.
この結果,ブラジル,コロンビア,メキシコなど中南米に主要な産地が移動することとなりました.
コーヒーの飲み方の発展
 はじめは豆を煮て,コーヒーの液を取り出しました.最初は,生の豆を煮ていましたが,やがて焙煎した豆を煮るようになります.そして,焙煎した豆を微粉してから煮るようになります.
  アメリカのパーコレーターは豆を煮出すという飲み方の流れを引いています.
 現在に通じる滲出・濾過方式の発明は18世紀半ばのフランスでありました.しかし,ネルドリップ式のコー日を入れるのは面倒だったので,ペーパーフィルターの発明が20世紀初めのドイツでありました
 現在ではいろいろな飲み方がありますが,最近ではエスプレッソコーヒーが流行しています.
3.コーヒーの品質
コーヒー豆の焙煎の仕方によって,風味が左右されます.一般的には,焙煎が深いほど,色が濃くなり,苦味が強くなり,香りも強くなりますが,酸味は弱くなります.
 浅煎り アメリカンロースト
 中煎り ジャーマンロースト
 深煎り フレンチロースト,イタリアンロースト

コーヒーの味と成分を決める主な成分は以下のようなものです.
 苦味は水溶性であっさりした苦味を持つ ( カフェイン ) と 持続性の苦味である( ポリフェノール )によって生じます.
 香りはポリフェノールの熱分解物です.香りの成分は揮発しやすいですが,ポリフェノールの熱分解物なので焙煎が深い方が香りが高いことになります.
 酸味は有機酸によって生じますが,有機酸には揮発性のものと非揮発性のものが含まれます.焙煎によって揮発性の有機酸は飛ぶので,焙煎が深いと酸味は落ちるということになります.
 嗜好品ですから,深煎りがよいとかわるいとかいうことはなく,コーヒーの入れ方と味の好みで決めたらよいということになります.
 カフェインはコーヒー,茶,ココア,コーラなどに含まれます.カフェインということばがコーヒーの学名に由来しますから,コーヒーといえばカフェインを思い起こす人も多いでしょう.さてカフェインの作用ですが,
1) 薬理作用
 たくさんの薬理作用を持っています.
 平滑筋弛緩作用(気管支拡張作用),強心・利尿・血管拡張作用,中枢刺激作用,骨格筋緊張作用,ヒスタミン遊離の抑制,胃液分泌の促進などがあるそうです.

A 精神作用
 カフェインには弱い依存性がありますが,タバコ(喫煙で速効性)と違い,消化器から吸収するのであまり問題にはならないそうです.
 100〜200mg程度の摂取(コーヒー1,2杯程度)によって, 集中力の増大・維持,眠気の消失,疲労感の減少があります.
 一方,300mg以上の摂取(コーヒー3杯以上)すると,平静度の低下,不安・不穏感の上昇があります.要するに飲みすぎは逆効果のようです.
 カフェインは睡眠時間の短縮,睡眠の質の低下を招きますので,就寝前に飲むのは好ましくありません.
 単純な労働では疲労感を下げて,生産性を高めるとみられます.
4.コーヒーの主要生産国
 ブラジル(アラビカ種が主),ベトナム(近年急速に生産拡大,ロブスタ種),コロンビア(アラビカ種),インドネシア(ロブスタ種が主,スマトラ島のマンデリンはアラビカ種),コートジボアール(ロブスタ種)などがあります.産地による品質の違いはよく知られています.サントス,ブルーマウンテン,モカなどの銘柄はよく知られたものです.

表2 世界のコーヒーの生産高(2005年,FAO統計から)

国名

栽培面積(万ha

収量

t/ha

生産量

(万t

1.ブラジル

232

0.9

213

2. インドネシア

141

0.5

76

3. ベトナム

48

1.6

75

4.コロンビア

56

1.2

69

5.エチオピア

32

1.0

33

6.メキシコ

76

0.4

31

5.栽培
熱帯原産であるが,( 強い )光を嫌います(特に幼植物の時はそうです).そこで庇陰樹を設けて強い光が当たらないように栽培するのがよいとされます.

アラビカ種の生育適温は,  最低平均気温( 13 )℃,最高平均気温( 27 )℃,日平均気温( 21 )℃以上です.
南北緯( 25 )度の範囲・標高( 200 )から( 1000 )mの高地に栽培が集中しています.
多雨と同時に開花期の乾季が必要です.開花期に雨が降ると,開花がだらだらと続くので収穫する果実の成熟もばらつくからです.

種子から苗を作り,移植します.3年ぐらいで結実を始め,30年間程度収穫できるそうです.
手で熟した果実を選んで収穫するのがふつうのようです.振動収穫機もありますが,未熟果が混入し,品質は低下します.
果実(コーヒーベリー)から果皮を取り除いて,コーヒー豆を取り出し,出荷します.

2.カカオの歴史
南米オリノコ川・アマゾン川流域が原産地です.マヤ族によって栽培植物化されたそうです.トウモロコシと一緒に粉にして,唐辛子などと一緒にしてお湯に溶かして飲んだようです.カカオ豆は貴重で,貨幣ともなり,飲用は王侯・貴族に限られたそうです.

スペインによるアステカ族の征服があり ヨーロッパへ伝播します.ナッツなどに加え,砂糖を入れるようになりました.
19世紀初め,脂肪分(ココアバター)の抽出法の発明されます.それまではそもそもカカオ豆には脂肪が多く,飲みにくかったのでデンプンなどをまぜていたそうです.これがココアの始まりになります.さらに19世紀中頃,チョコレートの製造法の開発されました

3.カカオの生産と利用
1) 生産地
 コートジボアール,インドネシア,ガーナ,ナイジェリア,ブラジル,カメルーンでの生産が多いです.
テキスト ボックス: 表3 世界のカカオの生産高(2004年,FAO統計から)
国名	栽培面積(万ha)	収量
(t/ha)	生産量
(万t)
1.コートジボアール	180	0.7	133
2.ガーナ	150	0.5	74
3.インドネシア	50	1.2	60
4.ナイジェリア	106	0.3	37
5.ブラジル	64	0.3	19
6.カメルーン	38	0.4	17
A 利用
 カカオの利用としては,ココアバター(油料作物),ココア(喫茶,嗜好料作物),チョコレートが挙げられます.
カカオ豆にはアルカロイドの1種テオブロミンが含まれます.
4.カカオの栽培
1) 栽培適地は赤道を中心とする高温多雨地帯で,南北緯( 20 )度以内です.年平均気温( 24 )〜( 28 )℃,年降水量( 1500 )〜( 2500 )mm,均一に降ることが必要です.温度変化が少なく,湿度が高いところが適しています.根が浅いので,暴風もよくないです.
 カカオの大部分は南北緯( 10 )度以内,海抜( 300 )〜( 600 )mの地域に集中しています.
2) 栽培
( 強い )光を嫌いますから,庇陰樹が必要です.
 庇陰樹は防風林ともなり,気温や湿度の急変を防ぎます.マメ科の庇陰樹は落ち葉が窒素の給源ともなる利点があります.

長い直根を持つので,有機質に富む,深い耕土がよいです.

( 種子 )繁殖します.苗を作りますが,移植を嫌うので,かごに播種して,かごごと移植します.

播種後,2〜3年で実がなり,翌年から収穫できます.だいたい20〜25年くらい収穫できます.
年間を通じてつねに花を着生するので,成熟した果実(幹成果)を次々収穫できます.
果実は長さ25cm程度です.果実内の種子を取り出し,発酵させると,カカオ独特の香りが生まれます.このあと天日乾燥して出荷されます.
D.ホップ(嗜好料作物にはふつうは入れないで,薬料作物とすることが多いですが,この授業では時間の関係でここで説明します)
1.植物学的特性と来歴
クワ科の多年生草本 Humulus lupulus L.です.つる性で雌雄異株の多年生草本で,地下茎と根で越冬します.
コーカサス地方が原産地とされます.
もともと薬用であったホップをビールに添加して,風味・日持ちをよくするようになりました.

冷涼(夏平均気温20℃以下)で乾燥した気候が栽培に適します.こうした気候では品質もよくなり,病気ができにくいです.雨が多いと,べと病がでやすいです.日本では東北地方(岩手・秋田・山形県など),北海道で栽培されます.
2.ホップの利用
ビールに入れる利点はいくつかあります
1) 苦み・芳香を与えます
2) 泡立ちをよくします
3) 過剰なタンパク質などを沈殿させ,清澄にします
4) 防腐効果があります
ホップの苦みと芳香は樹脂成分(( ルプリン )腺で作られる( ルプリン ))に主に由来します.

表4 ホップの成分

成分

組成(%)

水分

10.0

全樹脂

15.0

精油

0.5

タンニン

4.0

還元糖

2.0

ペクチン

2.0

アミノ酸

0.1

タンパク質

15.0

脂質・ワックス

3.0

灰分

8.0

セルロース・リグニン

40.4

3.ホップの生産
 ドイツ,アメリカ,チェコ,ロシアなどでの生産が多いです.日本では冷涼な気候である東北北部での生産が多いです.

表5 世界のホップの生産高(2003年,FAO統計から)

国名

栽培面積(ha

収量

t/ha

生産量

t

1.ドイツ

18000

1.7

30000

2.アメリカ

11600

2.1

24750

3.中国

9000

2.0

18000

4.チェコ

5942

0.9

5527

5.イギリス

1994

1.3

2600

6.ポーランド

1598

1.6

2500

13.日本

330

2.1

692

 

4.ホップの栽培
1) 移植と株こしらえ
ホップは栄養繁殖します.地下部を適当に切断して,移植します.20年くらい栽培できます.
( 雌株 )のみ栽培します.花は受精する必要はありません(風媒花).受精すると芳香など品質が劣るので,雄株は栽培しません.
 短日植物です.
( つる性 )なので,棚仕立てにします.高さ5.5m程度になります.風に弱いので,防風林・防風網を設けます.

( 株こしらえ ) 根株を露出し,適度に株を切除する作業を春に行います.
目的 1) 過剰の茎・根を除去することによって少数の強い芽を残し,萌芽を均一にします
    2) 根株の形を維持します
    3) 中耕的役割があり,肥効を高めます
2) 初期生育
数多く,萌芽するので,目的とするつるを数本だけ残します.これを選芽といいます.
初期生育では( 基肥 )を重視します.( 窒素 )が多すぎるとつるぼけして花が着かなくなります.( ホウ素 )の欠乏が起こりやすいです.

つるが伸びてくると,誘引し,側枝を除去します.さらに摘心します.

3) 開花
雌花 開花はじめは毛のような柱頭だけが目立ち,これを毛花といいます.ホップの花序は40個くらいの雌花の集まった花序です.この花序は成熟にともない,中軸,内苞,外苞が発達し,松かさのようになります.これを球果(毬花)といいます.
5.ホップの収穫と乾燥
雌花に発達する( ルプリン )とは,外苞や内苞の基部の多数の黄色の小粒のことです.

開花後,球果が十分に発達したものを収穫し,花摘機に枝ごとかけます.

収穫適期は球果の重量と乾燥歩留まりの兼ね合いで決まります.だいたい開花後( 6 )週間後くらい,8月中旬から9月上旬がふつうです.

未熟果はルプリンが( 少ない )です.
球果の成熟は以下の基準で判断します.
1) 球果の色が淡緑色から黄緑色に変わります.
2) ルプリンに光沢があり,粘着性に富みます.
3) 芳香を放つようになります.

収穫後速やかな乾燥(火力乾燥)が必要です.この乾燥は品質に大きく関わります.


収穫によって地上部の大半は刈り取られますが,のこった地上部の光合成産物が地下部に蓄えられ,翌年の萌芽のエネルギー源となります.
参考文献
工芸作物学 栗原浩編 農山漁村文化協会
工芸作物学 佐藤庚ら 文永堂
作物栽培の基礎 栗原浩ら 農山漁村文化協会
カフェインの化学 栗原久 学会出版センター
コーヒーの歴史 マーク・ペンダーグラスト 河出書房新社
ホップ 浜口典成 農山漁村文化協会
世界有用植物事典 平凡社

さらに知りたい人は
コーヒー UCCのホームページ http://www.ucc.co.jp

コカノキの写真(リンク)
コーラノキの写真(リンク)
Coffea arabicaの写真(英語版Wikipediaから)
Coffea canephoraの写真(英語版Wikipediaから)
コーヒーの歴史(Wikipediaから)
コーヒーの歴史(UCCのホームページから)
コーヒーの飲み方の歴史(リンク)
コスタリカにおけるコーヒーの庇陰樹の効果の研究成果があります(リンク)
これによると小規模な農家では庇陰樹を材木で売る利益が大きいようです.
コーヒーの栽培とコーヒーベリーの構造(UCCホームページから)
コーヒーの収穫とコーヒー豆の取り出し(キーコーヒーホームページから)
C.カカオ Theobroma cacao L.
1.植物学的分類
アオギリ科カカオ属で常緑性半高木(樹高5〜8m)です.
 南米オリノコ川・アマゾン川流域が原産地です.
 品種としては品質はよいけれども耐病性が劣り,収量も低いクリオロ種と耐病性の高いフォラステロ種,さらにクリオロ種とフォラステロ種の交雑種であるトリニタリオ種があります.
クリオロ種,フォラステロ種,トリニタリオ種の写真があります.スペイン語のホームページですが・・・

クリオロとはスペイン語criolloで,英語ではcreoleに相当し,植民地生まれの人だそうです.フォラステロはスペイン語forasteroで,英語ではforeignに相当し,外国生まれ,トリニタリオは三位一体という意味だそうです.

コーヒーさび病の歴史を書いた英語論文へのリンク
チョコレートができるまで(リンク)
カカオの実ができるまで(リンク)
東北地方のホップ栽培(農水省東北農政局ホームページから)
日本におけるホップの生産状況(平成18年度)(農水省東北農政局ホームページから)
ホップの収穫と乾燥(農水省東北農政局ホームページから)