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研究:集水域の持続的土地利用に関する研究


写真:インドネシア、ジャワ島の棚田

 インドネシアにおいては、1960年代以降ジャワ島を中心に緑の革命により、近代稲作技術が導入され集約的な水田稲作が行われ、30年以上高収量を維持している。しかし、今後も現在のような高収量を維持した農業生産活動が持続的に可能なのかどうか、長期の視点に基づく現在の土地利用、農法の評価は行われていない。

 研究室では現在、近畿大学の若月教授と連携しながら、ジャワ島における過去30年間の水田土壌の理化学性の変化を、1970年に京都大学久馬名誉教授により採取された水田土壌と2003年に同じ地点より採取した土壌の理化学性を比較することにより調べている。本研究により、緑の革命導入以降30年間の集約的な農業活動(化学肥料・農薬の施用、高収量品種の作付け、多毛作など)が水田土壌の生産性にどの様な影響を及ぼしているか、さらに現在の農業活動が持続的でありえるのかを評価する。

 また、水田土壌だけではなく、ジャワ島、スマトラ島において、いくつかの集水域を対象に、高地から低地への養分動態に各種土地利用システム(森林、畑、水田、果樹・有用植物プランテーションなど)や水利用システム(自然河川、ダム、ため池)が及ぼす影響について調査を行っている。高地から低地への自然の養分供給に対して、各土地利用システムにおける養分収支と土壌肥沃度変化という視点から、集水域レベルでの土地利用(農業生産)の持続性の評価を試みる。また、農地からの肥料成分の溶脱による環境負荷、工業地帯に隣接する農地おける土壌汚染などについても調査を行う。

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