エクセルによる重回帰分析の仕方
1.各都道府県の水稲の平成13年度単収(g/m2)を年平均気温(℃)、年間降水量(mm)、日照時間(時)から説明する重回帰式を求めてみましょう。気象データは原則として県庁所在地のものを使用しました。以下のようなデータです。
2.エクセルの分析ツールから回帰分析を選択します。
3.必要な情報を入力します。入力Y範囲には目的変数を入力します。複数ある説明変数は入力X範囲に入力します。したがって、エクセルのシートには回帰分析で用いる説明変数を隣り合う列に入力しておく必要があります。
4.以下のような結果を得ました。
5.上の結果から次のことがわかります。
1) 年平均気温、降水量、日照時間から水稲単収を説明する式は
水稲単収=713.932-17.336×年平均気温+0.010666×降水量+0.017851×日照時間
となりました。
2) 決定係数は0.514717であるので、この重回帰式によって、収量の約51%を説明していることになります。
3) 分散分析の結果、この重回帰式は1%水準で有意であることがわかりました。
4) しかしながら各説明変数それぞれのP-値をみますと、年平均気温だけが1%水準で有意であり、降水量と日照時間は5%水準で有意ではありませんでした。このことは降水量と日照時間は収量を変化させる要因とはいえなかったことを示します。さらに年平均気温の偏回帰係数は負なので、温度が低くなるほど収量が高いということになりました。
単回帰分析と同じように、重回帰分析でも直接的な因果関係を証明するわけではありません。このように収量に関係のありそうな日照時間には関係が認められず、温度が低いほど多収となる結果を直接的な因果関係とすると間違った結論を出してしまいます。重回帰分析を利用するときはこのような点に注意しておく必要があります。