多数の因子を同時に実験するとどうなるか?
 さて、多くの因子を取り上げると何がわかるのでしょうか。それは3つ以上の因子の絡む交互作用です。たとえばA、B、C、D、Eの5つの因子について実験するとすれば、A、B、C、D、Eの5つの因子の主効果、A×B、A×C、A×D、A×E、B×C、B×D、B×E、C×D、C×E、D×Eという2つの因子間の交互作用、A×B×C、A×B×D、A×B×E、A×C×D、A×C×E、A×D×E、B×C×D、B×C×E、B×D×E、C×D×Eという3つの因子間の交互作用、A×B×C×D、A×B×C×E、A×B×D×E、A×C×D×E、B×C×D×Eという4つの因子間の交互作用、A×B×C×D×Eという5つの因子間の交互作用がわかります。しかし、3つ以上の因子の関係する交互作用はその解釈が難しい上に、ほとんどの場合あまり大きくないので、無視してもかまわないことがわかっています。
 次回の授業では実験の一部だけを実施する方法についてごく簡単ですが、学びます。
 例えば、水稲の収量に影響を及ぼす因子は数多くあります。品種、気温、水温、窒素、日射量、作期、日長などなど。このすべてをもし取り上げて、各因子の水準を3つずつ設けたとしたら、どうなるでしょうか。因子が2つなら3×3で9回の実験を反復を設けなくてもしなければなりません。因子が3つなら、3で27となります。因子が4つなら3で81ともなり、水稲の実験としてはほとんど不可能でしょう。
 工場でものを作るときには制御可能な因子はかなりの数になります。それぞれの因子で最適な水準を見いだすことは生産コストを減らし、良質な製品を作る上で重要です。したがって、なるべく多くの因子を取り上げながら、実験回数を少なくすることが必要です。
 二元配置による分散分析の時に学んだように、一つ一つの因子を別々に実験すると複数の因子が絡んだ交互作用が検出できないので、同時にいくつかの因子を取り上げて実験する方がよいことは確かです。しかし、あまりに多くの因子を同時に取り上げると実験数が増えすぎて、現実的ではありません。
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