第14回 つくばみらいFACEでの調査報告2010年度その1

ことしから3年の計画で,つくばみらい市の農家水田に設置されたFACEリングで水稲の花粉,受粉,開花時刻,1穂穎花数(分化穎花数と退化穎花数)を調査しています.FACEについてはかつて中国のFACEを訪問したときの記事を書きました(下のリンクです)

第3回 中国FACEの見学(2005年7月) 作成は2005年11月2日

6.柱頭上の受粉数を調べたのが以下の表です.気温の高い日では受粉数が減りました.しかし,70個以上受粉したので,この程度では高温による不受精が発生することはほとんどなさそうです.しかし,これよりさらに2,3℃上昇するとさらに受粉数が減少し,高温不稔が発生することが予想されます.FACEとAMBの間では,系統的な差は認められませんでした.

5.開花時刻を調べました.まだきちんとデータは出ていませんが,達観でざっと観察したデータが以下のものです.FACE(二酸化炭素濃度を高めた場合)とAMB(現在の大気のC02レベル)で開花時刻には系統的な差はなさそうです.しかし,気温の高い日は開花が明らかに早まっているようです.

1.まずは,つくばみらいFACEの現地の写真です.

2.二酸化炭素を供給するためのタンクです.

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FACE AMB
7月31日 78.8 112.5
8月1日 99.5 78.1
8月2日 131.3 122.5
8月3日 181.0 153.9
8月4日 140.4 150.0

7.今年中には消化できないくらいのたくさんのサンプルをとることができました.今後,随時,このホームページで結果を紹介していきたいと思います.

7月30日 7月31日 8月1日 8月2日 8月3日 8月4日 8月5日
開花始め FACE 10.78 9.52 10.55 10.30 9.73 9.38 9.93
AMB 11.06 9.55 10.80 10.46 9.63 9.63 8.60
開花盛期 FACE 11.44 10.06 11.22 10.88 10.23 9.93 10.76
AMB 11.67 10.30 11.18 11.30 10.75 10.58 10.10
開花終わり FACE 12.06 10.93 11.97 12.01 10.90 10.68 11.35
AMB 12.44 11.18 11.93 12.34 11.38 11.63 10.72

3.田植え直後のFACEリングと水田の様子です.

4.出穂,開花し始めたFACE圃場です(7月31日).今年は猛暑でしたので,来年の気象次第では温度の異なるデータが得られそうです.