高機能触媒研究室
現在我々は環境, 資源, エネルギーの諸問題に直面しています. NOxの除去, CO2の排出抑制, 石油・石炭・天然ガス・バイオマスなどの資源の有効利用, 水素燃料などクリーンな代替エネルギーの開発などにおいて, 触媒の開発や基礎研究はより重要となっています. 私たちの研究グループではこれらの課題を解決するために, 新しい触媒系の開発と機能の解明を目指しています. そのためには, 触媒設計手法を確立するとともに実際の反応中において触媒がどのように働くかを明らかにする必要があります. そこでFT-IRやラマン分光などの手法で表面科学的に触媒を調べたり,X線の吸収スペクトルから原子のまわりの構造を知るなどの基礎的研究に基づき,より合理的で精密な触媒設計に挑戦しています。
Modern society faces trilemma of environment, resource, and energy. Catalytic processes must play active roles in the situation of NOx removal, CO2 control, and hydrogen development in addition to utilization of petro, coal, natural gas and biomass.
有機資源創製用高機能触媒の設計 Design of Catalysts for Organic Resources Conversion
有機資源創製 Organic Resources Conversion
高圧反応用触媒の開発 Catalyst Development under High Pressure
非線形回帰による触媒設計 Catalyst Design using Nonlinear Regression Models
分光法による反応条件下での触媒活性点キャラクタリゼーション
固体触媒のin-situ XAFS測定 in-situ XAFS charactarization of supported catalysts
平成25年より5年間のJST-ALCAプロジェクトに採択され,炭酸ガスからメタノールを合成するプロセスを開発しています.太陽光や風力などの再生可能な自然エネルギーを用いる発電が急速に普及していますが,この電力を用いる高圧水電解により,高圧水素の製造が可能になっています.当研究室では,この水素に注目し,これを利用することで,炭酸ガスからメタノールを合成する触媒を開発しています.また,平衡反応による転化率の制約を回避できる新しいアイデアに基づく反応器の設計も進めています.このプロセスにより,自然のものよりも効率の高い光合成システムを目指しています.
当研究室の研究対象は,反応式(1)ですが,他に太陽光発電(2),高圧水電解(3)を含め,水素の原料までさかのぼって考えると,太陽光と水と炭酸ガスからメタノールを製造するシステム(4)となっており,トータルでは光合成システムが構築されていることになります.
メタノールは,現在,工業製品の原料として化石資源を原料にして,大量に製造・消費されています.一方,様々な工業製品に容易に変換可能であるだけでなく,燃料としても優れた特性をもっているために,これが太陽光と水と炭酸ガスから製造できるようになれば,化石資源に依存しない社会の実現に大きく貢献します.