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実験室の設営

実験室レイアウト図 大学院棟の改修が行われ、令和3年度より晴れて独立した実験室に移転することとなりました。 これから実験室の新設・改修が行われる方へ、設計の参考になればと思い、この記事を作成する次第です。

元々203A東と203Bは別室で、203A西は廊下でした。 203A東と203A西を隔てていた壁を打ち抜いて一部屋としています。 203A西と203Bの間にあった扉は、往来のストレスを軽減するために撤去しました。 壁ごとなくしたかったのですが、構造壁となっていたため、できませんでした。 当初計画では、西側の壁沿い天井裏に硬い梁があってドラフトのダクトが通せないとのことで、大幅なレイアウト変更を要しました。

面積は203A東が16平米、203A西が18平米、203Bが36平米です。 設計が古い建物なので、現在推奨されている垂直島型配置や通路幅の確保ができません。 さらに203Aにはともに室内開口のパイプスペースがあり、配置には非常に苦慮しました。 何より手前と奥との出入口が実質1箇所になるため、避難経路に不安があります。 万が一の場合は窓から逃げないといけません。 ちょうどいい位置に階下の庇があったので、大怪我はしないで済みそうです。


  1. 搬入前

新設の実験室を見るのは貴重な機会です。 以後汚れていくだけなので、その様子を記録しておこうと思います。 できればこのままにしておきたいという気持ちもありましたが、それでは設置された意味がないです。 窓側サイド実験台と中央実験台は、ツライチで位置合わせして、引出・棚(天袋除く)がミラーイメージになっています。 ドラフトは県下初となる低風量型(プッシュ-プル)です。 本来の要求では、水道配管をバッフル面に設け間口を広く確保し、シャッターのコンビネーションサッシ、左右の壁がサイドビュー(ガラス窓)、コンセントが2回路分だったのですが(参考)、入札で競合他社が対応できず、現在の仕様になった経緯があります。

  • 203A東-奥から
  • 203A東-手前から
  • 203A東-流し・サイド実験台・ドラフト
  • 203A西-手前から
  • 203A西-奥から
  • 203A西-サイド実験台
  • 203B-南西から
  • 203B-北西から
  • 203B-北東から
  • 203B-南東から
  • 203B-ドラフト
  • 203B-流し
  • 203B-北側サイド実験台
  • 203B-南側サイド実験台
  1. 施工修正

物を入れた後で作業をするのは困難なので、先に細部の修正・調整をしないと搬入ができません。 つまり、終わるまで荷物が一時置き場にとどまり続けることになります。 使用感を予測しながら進めるので、時間がかかり、気力を消費する作業でした。

  • 設置段階でわかっていたことですが、ブラインドが下ろせなくなっています。また向こうの部屋が見えてしまっていますので対処が必要です。
  • この位置のスターチーフは不要なので撤去します。安定脚は実験台天板上に固定してありません。パイプだけでいいかと思ったら、基部も頭をぶつけるので後に撤去しました。
  • スターチーフの設置方向が、個人的には縦棒が手前の方がいいので全部組み直します。稼働棚の位置にしか基部が設けられないのは、正直うまい設計だとは思えません。
  • ドラフトのスターチーフも組み直します。中に身を乗り入れて高い位置までやらないといけなかったので、実はかなり大変でした。
  • 三方固定金具(グローバルムッフ)はAとBがあって、キラルになってます。別の見方をすると、二方固定でいい場合はこれを使いたくはありません。
  • 隣が見えない・見られないように窓にポリカプラダンを貼ります。1800mmの物を半分にカットしただけです。はがせる両面テープで十分固定できます。
  • 何もしないと向かいからも丸見えですが、視線が遮れれば十分です。保温目的じゃないので、隙間シールはしません。窓の開閉も可能です。
  • 203A西の窓にも目隠しシートを貼ります。かなり想定と違う感じのもので、かつうまく貼れなかったので、後日プラダンに貼り替えました。
  • 203A西と隣の建物の位置関係はこのようになっています。先にも述べた通り、ブラインドは掃除が大変なので使いたくありません。
  • 203A西のサイド実験台を移動させます。学生の共同利用勉強スペースになる予定でしたが、別室が確保できたました。すのこ台車を置くと、一人でも容易です。
  • 203A北側中央部に配置しました。当初計画では、ここにロッカーを置く予定でした。壁を撤去して繋げた箇所なので、継ぎ目の位置に段差があります。
  • 引出の中にシートを敷きます。以前は塩ビの滑り止めネットでしたが、劣化して張り付くのでEVAにしてみます。臭いがあるので一旦洗浄しました。
  • EYELAのHSS-50CAとアズワン4570Tの比較です。前者は純正機器を固定する金具が付属していて、固定はアジャスターを引き出してなされます。後者はストッパー付きキャスターです。
  • 縦に重ねていた試薬棚を、ベースを1台足して横並びにします。こうすれば、一応窓を生かすことができます。固定金具が本体に付属していたので、だいぶ探しました。
  1. 搬入

業者を入れてくれないという悲報が入りました。 なぜならば、我々は元いた実験室(1号館2階)→一時移転先(2号館1階)→新設実験室(大学院棟2階)というイレギュラールートで、スケジュールの関係で1段階目に業者利用しなかったからだそうです。 往路と復路をセット契約という形なので、我々は対象外となりました。 しかしながら、これまで複数箇所で研究室移転を経験し、業者の運搬方法を観察してきた経験が活躍しました。 2号館1階実験室から1号館2階居室まで運び入れれば、あとは屋根伝いに平行移動なので、何ということはありません。

  • 203A東
  • 203A北側中央
  • 203A西
  • 203B中央実験台南側
  • 203B南側サイド実験台
  • 203Bドラフト周囲
  • 203B中央実験台北側
  • 203B北側サイド実験台
  1. 完了

開梱して収納、機器類のセットアップを経て、実験を開始できる状態になりました。 一応、所有器具のほとんどを収納することができました。 同時に使うことを連想できるうように、それぞれの器具を近くに配置しています。 あとは実際に使ってみて、修正したり、足りない物を足していくことになります。 できるだけこの状態を長く保てるように、清掃と整理を入念にしていきたいものです。

  • 203B-南西から:もっとも動線が集中すると思われる部分で、広めに通路をとっています。
  • 203B-南東から:奥に見える冷蔵ショーケースは、サンプルの保管や冷所静置に使います。
  • 203B-北東から:不活性ガスラインを配管する可能性を考慮してボンベを配置しています。
  • 203B-北西から:天袋には消耗品を保管し、施錠管理しています。
  • 203B北側サイド実験台(エバポレーター台):2機を1台のポンプと冷却水循環機で運用します。
  • 203B流し:2層式で、水切り板を追加しました。単独使用で長物に対応させたつもりです。
  • 203Bカラム立て。テラモトの傘立てを小改造してます。外径40mmφまでは使えます。
  • 203Bドラフトと器具乾燥機:廃液タンク・流し・乾燥機が近接するようにしたかったですが…。
  • 203B南側サイド実験台(天秤台):ガラス扉付きで、埃をかぶせたくない器具も置けます。
  • 203A西-試薬棚:収まる量の試薬しか持たないようにします。すのこは膝をつけるようにするためです。
  • 203A東-蒸留水製造機と溶媒再生装置:ソルピュアはドラフトに入らなかったので、この位置に。
  • 203A-サイド実験台とドラフト:当初要求仕様だったら、ドラフトと実験台との連続性が出たはず。
  1. 追加改修

実験台スターチーフの安定感が不足しているなので、支柱を追加発注して増やします(5月上旬)。 安定脚は、天板に穴をあけると修正できなくなるので固定してません。 予定納期より半月延びて、部品が足りなくて送ってもらうということをしたので、ずいぶん遅くなりました(7月上旬)。 ほか、2室間を隔てて空調の省エネ、防臭、防音を狙い、ビニールカーテンを設置しました。

  • 中段に横棒があると棚に手が届かなかったので除去しました。なので、支えが足りてません。
  • 既設の部分とネジの形状・材質が違ってたので、結局自分で買ってきました。
  • 支柱の2部品をm4皿小ねじと袋ナットで固定します。
  • 斜めにはめ込まないといけないので、パイプ部を外さいないと組めませんでした。
  • これを1800㎜スパンに2箇所ずつ設置します。
  • 実験台の継ぎ目(中央部)は難易度が高いです(設計ミスでは?)。
  • 三方固定点ができて、見た目もすっきりできました。
  • 中央実験台に4セット設置しました。安定脚も撤去し、作業面も広くなりました。
  • こちら側は15㎝幅の短冊状です。
  • 反対側はシャワーカーテンで仮設置中。2枚重ねたほうが当然効果は高かったです。
  1. レイアウト変更

全室の用途変更に対応できるよう、試薬類をすべて実験室内に移しました(12月下旬)。 これが元々の仕様でしたが、十分いけますね。

  • 手前の冷蔵庫はサンプル保管用をメインにしてます。
  • 入口近くが試薬保管場所的スペースになっています。