ウェスタンブロッティング SDS-PAGEとブロッティング
1.SDS‐PAGE
ガラス板の準備
1.
キムワイプを使いガラス板の内側を70%エタノールで“横向きに”磨く。
2.
コーム、ゴムも同様に磨いておく。
3.
ゴムの凸部を上向きにして、耳付きのガラス板にセットし、もう一方のガラスとはさむ。
4.
グリップを4つ使い2枚のガラス板を挟みとめる。(このとき手を離してもガラス板がぐらぐらせずに立つようにクリップの位置を調節する。)
5.
コームを差込み、コームの下端から5mmくらいのところに印をしておく。
その後、コームは抜いておく。
ゲルの作成
1.
溶液を以下のように調製する。
|
(分離)ゲルのアクリルアミド濃度 |
||||
|
6% |
8% |
10% |
12% |
14% |
30% Acrylamide
Mix |
3ml |
4ml |
5ml |
6ml |
7ml |
DW |
8.15ml |
7.15ml |
6.15ml |
5.15ml |
4.15ml |
1.5M Tris-HCl(pH8.8) |
3.75ml |
3.75ml |
3.75ml |
3.75ml |
3.75ml |
10%SDS |
150μl |
150μl |
150μl |
150μl |
150μl |
TEMED |
12μl |
12μl |
12μl |
12μl |
12μl |
|
|
|
(ミニゲル二枚分 Total15ml) |
*ワイドのゲル板を使う場合は、1枚あたり上記量の1.5〜2枚分を調製する。
2.
10%APSを125μl加えて軽く攪拌し、ゲル板に印を付けた所まで泡が入らないようにゆっくりと流し込む。
*APSを加えると固まり出すのでゲル板に流し込む直前に加える。
3.
水飽和ブタノールを重層する。
4.
10-20min位してゲルが固まったら重層した水飽和ブタノールを捨て、DWでよくすすぎ、キムワイプで水分をよくふき取る。(残ったゲルの固まり具合を指標にしてもよい)
*このとき余分な水分が残っていると、ゲルの境界が波打つ原因となる。
5.
濃縮ゲルを以下のように調製する。
30% Acrylamid
mix |
0.75ml |
DW |
4.8ml |
0.5M Tris-HCl (pH6.8) |
1.87ml |
10% SDS |
75μl |
TEMED |
6μl |
(ミニゲル二枚分)
6.
62.5μlの10%APSを加えて攪拌し、ゲル板いっぱいまで流し込み、コームを差し込む。
*コームの下や隙間に気泡が入らないように、斜めにゆっくりと差し込む。
7.
20〜60min位してゲルが固まる。
*ゲルは4℃で保存可能。乾燥しないようにキムワイプなどをガラスの上に載せてラップでくるむと良い。
2.SDS-PAGE電気泳動
1.
泳動槽にクリップ二個でゲル板をとめる。ゲル板一枚で泳動する場合は、反対側には別のゲル板かガラス板をつけておく。
2.
Bufferを下部の泳動槽に入れる。
3.
ゲル板の下に泡が入らないようにゲル板を傾けながらゆっくり泳動槽にゲル板をセットする。
4.
上部の泳動槽にBufferを入れる。
5.
コームをまっすぐ引き抜く。
6.
ウェル中のごみ(ゲルのカスなど)を取り除く。
7.
エクセルラダー(マーカー)、サンプルをアプライする。 *マーカーのアプライ量:2〜3μl
8.
パワーサプライに接続する。
9.
ゲル板1枚につき20mAで流す。2枚なら40mA。(60〜90min)
10.
色素がゲルの下から1cm位まで泳動されたら泳動を止める。
11.
ゲル板を取り外す。バッファーは再利用しない。
*ゴム、コームは値段が高く、無くなりやすいので、洗ったら軽く拭いてすぐにカゴの中に戻しておく。
12.
ゲル板をコテを使って開け、余分な部分(濃縮ゲル、サンプルのないレーンetc)を切り落とす。
ゲルはこの後ブロッティング、またはCBB染色を行う。
3.CBB染色
1.
染色するゲルをタッパーに移し、CBB溶液を入れ、シェイカーで約30〜60min染色する。
2.
染色が完了したら、CBBを瓶に戻しゲルを水道水ですすぐ。
3.
脱色液とキムワイプ入れ、シェイカーにかける。
4.
このキムワイプに色が移る。脱色液にはアセトンが含まれているため取り扱い注意。
5.
手袋着用。染色が弱くなってきたら酢酸を少し加える。それで駄目なら新しく作る。
6.
キムワイプを数回取り替える。
4.ブロッティング(セミドライ)
1.
PVDFメンブレン(Hybond
P.Amersham)を 100%メタノールに30秒ほど浸ける。(以後乾燥させてはならない。)。メタノールに漬ける時は端から少しずつ漬けること。
2.
濾紙3枚×2セット、メンブレン、ゲルをblotting bufferに15minほど浸け、なじませる。
3.
転写装置のふたを開け、下から濾紙3枚、ゲル、メンブレン、濾紙3枚の順に重ねる。それぞれを重ねるときには、空気が入らないように気をつけ、blotting
bufferを少し垂らしながら重ねる。*ゲルが膜よりも大きければ余分な部分は切る。
4.
すべて重ねたら、手で全体を押しつぶすように均等に押さえる。これにより気泡が抜け、密着度が増し転写効率が向上する。ゲルはそう簡単に割れないのでビクビクしないで良い。空気が残るのは大問題。*まず中心を押し、その後四隅を押さえるとよい。
5.
周りに残ったblotting bufferをきれいに拭き取る。
6.
空気が入れないように気をつけながら、転写装置のふたをする。
7.
定電流(C.C.)100mAで60min、電圧は25Vに設定。電流はゲル1cm²あたり2mAなので、8×6cm×2mA≒100mA。ゲルの大きさによって電流は調節。
8.
転写終了後のメンブレンをTBS-Tで軽くリンスする。
*転写効率を知りたいときは、PVDF膜をCBB染色する。脱色は70%エタノールで行う。スプレーで吹きかける感じで脱色する。脱色しすぎると完全に色が抜けてしまうので注意。
5.Blocking,一次抗体反応,二次抗体反応,発色
1.
転写後のメンブレンをトレイに入れ、Blocking液を加え、室温で60min(または4℃ O/N)振とうする。
2.
ブロッキング終了後のメンブレンをTBS-Tで軽くリンスする。
3.
TBS-T 5mlで希釈した一次抗体反応液とメンブレンをハイブリバッグに入れ、室温で60min(または4℃ O/N)振とうする。(1000倍希釈なら5μl抗体/5ml TBS-T)
4.
TBS-Tで5min×3回リンスする。
5.
TBS-T 5mlで3000倍(TBS-T
5ml+二次抗体 1.6μl)希釈した二次抗体反応液とメンブレンをハイブリバッグに入れ室温で30〜60min振とうする。
6.
TBS-Tで10min×2回リンスする。
7.
TBSで10min、1回リンスする。
8.
発色キット(ナカライ,ペルオキシダーゼ染色セット イムノブロッティング用)の緩衝液12mlと発色原液 600μlを混ぜ(20:1)、メンブレンに発色が出るまで振とうする(10~60min)。
9.
発色をとめるためにDWで数回洗い流す。
[試薬組成]
2×sample
buffer
10% SDS 3ml
β-Mercaptoethanol 0.3ml
0.5M Tris-HCl(pH6.8) 0.6ml
0.5%BPB-50%glycerol
Solution 6ml
TritonXやTwinを終濃度3%になるように入れてあるものもある。溶けずらいタンパク質にはこれを使うこと。
(タンパク)抽出buffer
0.1M Tris-HCl(pH7.0)
10mM DTT
5mM EDTA
1% Polyvinylpolypyrrolidone
β-Mercaptoethanol
1/200量直前添加
30mM PMSF 1/30量直前添加
ProtenaseInhibitor(SigmaP9599)を使う場合は、サンプル100mgに11μl加えること。10μlが約100円。
10×Tris-glycine 泳動 buffer
Tris 30.2g
Glycine 144.2g
SDS 10g
MQでup
to 1000ml
→使用時には10倍希釈で使用
1.5M Tris-HCl(pH8.8)
Tris 54.5g
MQ 250ml
HClでpH8.8に調整後 up to 300ml → autoclave
1M Tris-HCl(pH6.8)
Tris
MQ
HClでpH6.8に調整後 up to 300ml → autoclave
Blotting buffer
Tris 12g
Glycine 14.4g
MQでup
to 800mlの後に+200mlメタノール(特級)を加える。
SDSを加えると転写効率が上がる。0.02〜0.1%程度の濃度で使う。
TBS
NaCl 8g
KCl 0.2g
Tris 3g
MQで up
to 1000ml
TBS-T
1×TBS
1000mlに、10% tween20を5ml加える。
バックが高いときにはtween20の濃度を上げる(0.03~0.1%の範囲)
Blocking液
TBS-T 5mlに1/100量 Blocking One(ナカライ)を加える。用事調整。
検出感度の非常に高い試薬を使う場合には専用のBlocking reagentを使う。
10%APS
APS 0.2g
MQでup
to 2ml → 小分け(100μl程度)にして冷凍保存