卒業論文発表会での注意点
以下は院生の林君が作成してくれたマニュアルを秋廣が少し手を加えたものです。
発表前にプリントアウトしてチェック欄が全て埋まるかどうかをチェックすること。
卒論発表用のスライド作成の注意点
(最終校正2010/1/8 文責 林昌平)
・普段のセミナー発表でも注意すること。
・卒論発表練習1回目までには必ず全てチェック(チェック欄にチェックする)しておくこと。
・卒論発表では、スライドは完璧に作りこむこと。(普段のセミナーでは気にしないレベルまで気にして細部にわたって注意する。他研究室の初めて聞く人にもわかるように説明する。)
・最も重要なことは「聞き手に理解してもらうこと」であるので、そのためには絶対に以下のことを守らなければならないわけではない。自分で考えてその方がわかりやすいなら、例外があってもよい。
□ 誤字脱字はないか。句読点がないところはないか。
(他人にチェックしてもらうと見つかりやすい。)
□ 略号を使うときは、最初に説明を入れる。
(「底質においてクロロフェノール(以下CP)は・・・」など。「以下」はなくてもよいかも。PCRはよく使われる方法なのでいきなり略号でもよい。)
□ 文字の大きさは十分か。表、グラフ中の文字の大きさも注意する。
(サイズ24の太字以上がよい、サイズ28の太字以上がベター、ただし部屋の大きさによる。スライドに収まるなら大きければ大きいほどよい。大きすぎて逆にわからないことはない。)
□ 文字のフォントは統一されているか。また線が細くなるフォントは避ける。
(スライドでは日本語はMSPゴシック、ローマ字はArialが一般的。エクセルの表やグラフを貼ったものも注意する。)
□ 文字が欠けている部分はないか。
(自分のパソコンのパワーポイントと実際にスライドで映すパソコンのパワーポイントのバージョンが違うときに特に注意。必ず本番で使うパソコンで動作を確認しておくこと。)
□ 文章はなるべく簡潔に、箇条書きにする。
(1行でおさまるように、長くても2行(どうしても無理なら3行)までがよい。4行(3行)以上になる場合は2つの文章に分けることが出来ないか考える。)
□ 文章の位置(左端からの距離)、高さ等を調節する。
□ 適度に図を使い、聞き手がイメージしやすいようにする。
□ 漢字で表すものを自分で決め、統一する。
(〜あたりor〜当たり)
□ グラフ等の線の太さは十分か。
(エクセル上でもパワーポイント上でも横軸、縦軸、データの線の太さは変更できる。)
□ グラフの配置など、いろいろなパターンを考える。
(どのパターンが最も見やすいか、また自分が説明しやすいか。)
□ グラフは同じ形にする。
(単位、サンプルの並び方、対応する記号・色、向き。)
□ グラフの凡例はなるべくまとめる。
(同一スライド中に2つのグラフがあり、同じ凡例の場合は1つでよい。凡例のみ別に作ると変更などがしやすい。)
□ グラフの横軸、縦軸(単位含む)の説明を書く。
(「培養期間(週)」、「細菌数(細胞/g乾土)」など。)
□ グラフ、表中の表示形式をそろえる。
(値は1.60なのか1.6なのか、縦軸単位は100.00なのか100なのかなどを意識する。)
□ 適度にグラフ、表を入れる。
□ 適度に空白を入れる。
(スライド一杯にびっしりとグラフや説明を載せない。)
□ 卒論発表のスライドでは、関係ないもしくは説明しない事や部分は載せない。
□ 写真、化学構造式などもスライドに載せるなら話す。話さないなら載せない。
□ 何を伝えたいのか(何がわかったのか、何が大事か)を考える。
□ 同じ事、同じグラフを何度も載せない。
□ 色の使い方に注意する。
(白いバックに黄色、黄緑色、黒いバックに青色の文字や線は見えない。)
暗い部屋と明るい部屋での違いも考慮する。背景は付けない方が無難。生物科学科
□ パソコンの画面での映り方と、プロジェクタでスクリーンに映した場合の映り方が異なるので確認しておくこと。
(黄緑系が顕著。パソコン画面上では映えるが、スクリーンでは見えにくいことがある。)
□ まとめは大きく、重要な部分のみを簡潔に書く。
□ 方法は簡単に書く。
何が知りたいのでこの実験を行ったか、どのような結果(グラフ、表)が得られるのか。
□ 連≠反復
(連は時間的に同時に行った場合に使い、反復は時間的に異なるときに行った場合に使う。)
□ 各スライドにタイトルをつける。
(「結果」は不可、「○○○の結果」や「△△△の経時変化」などにする。)
□ グラフ、表にはタイトルをつける。
(表のタイトルは上、図のタイトルは下に書く、スライドのタイトルと一致する場合は省略可。)
□ グラフや表のみのスライドは作らない。
(グラフ、表の下に簡単な解説を入れること。「○○の場合のみ△△が増加」、「○○と△△の間に有意な差はない」など)
→林自身は簡単な解説があるほうが、自分が説明し易いし、他人の説明も理解し易いが、ない方がよいという人もいる。よって、個人的な好みによる。
□ 方法と結果は別のスライドにする。
(同時に出すと、結果に目が行く。)
□ スライド作成時に発言内容を考えて、ポインタが行ったり来たりしないようにする。
(上から下、左から右にスムーズに説明できるようにする。)
□ アニメーションを有効利用する。ただし多すぎるのは返ってよくない。
(スライド中の文章を一度に全て出すのではなく説明しながら出す、グラフの注目してほしい部分を丸で囲うなど。)
□ 極力アニメーションが、下の文章、表、グラフに重ならないようにする。
(アニメーションが出てくることで、下の文章、表、グラフが見えなくなるから。)
□ スライド1枚目のタイトル、所属(微生物生態学分野)、氏名の書き方は全員で統一する。
□ 卒業研究の全ての結果を卒論発表で発表する必要はない。
(最も重要で、説明しやすい部分のみをスライドにして発表する。)
□ 実験が複数ある場合は、最初に全体像を提示する。
□ 最初に述べた目的に対して、最後にその解答を述べる。
(最初の方に述べた目的と、最後のスライドの結論が対応していることを確認する。)
□ スライドは1枚1分が目安。
(8分ならタイトルを除いて8〜10枚くらい。)
□ 細かく説明するところと、大雑把に説明するところのバランス。
(あまり重要でない(結果考察で議論しない)ところを細かく説明する必要はない。)
□ 全体的なストーリーを考えてスライドをつくる。
(目的と結果考察の一致、使っている菌の一致など、矛盾がないように。)
□ 書いてあることは、説明する(読む)。説明しない(読まない)なら書かない。
□ 同じことを何度も言わない、書かない。
→最も必要なことは何度か言うほうがよい。が、時間の都合もあるので、2回が限度か?
□ 属名、種名はイタリック(斜体)。ただし、「 sp. 」や種名のところにある「bacterium」はイタリックにしない。
□ 16S rDNAもしくは16S rRNA遺伝子。
(正解には後者、どちらにしてもSとrの間にのみスペースがいる。読み方は「じゅうろくえす りぼそーまるでぃーえぬえー」または「じゅうろくえす りぼそーまるあーるえぬえーいでんし」)
□ 矢印の形に注意する。
(下の左図みたいにせず、右図のように直す。)
□ 指示語、接続詞はなるべく減らす。
□ 方法は、文章で書くと長くなりがちで、イメージしにくいので図を用いてイメージしやすいように。
□ 藍藻はシアノバクテリアにする。(藍藻でも通じるが、学問的にはシアノバクテリアが適切。原核生物で「藻」ではないので。)
□ 文章のバランスを考える。
(「シアノバクテリアの増殖に関して調査した。」といった文章で、「シアノバクテリア」と「の増殖に関して調査した。」の間や、「シアノバクテリアの増」と「殖に関して調査した。」の間で改行しない。また、「シアノバクテリアの増殖に関して調査した。」の「た。」だけ下の行にならないようにする。)
□ 多様性、ばらつき、単純化、集積は自分できっちりと意味を考えて使う。
□ 優占と優先、調整と調製などの違いを認識しておくこと。
□ 写真は見やすいものを使う。わかりやすいように加工する。
(必要のない部分を切る。シャーレの写真は光の反射していないもの。ただし、捏造はしないこと!!)
□ 前の発表者と同じ方法なら、方法の説明を簡略化してよい。
(DGGEとか。「前の発表にありましたように・・・」とか。前の発表者は後に発表する人のことも考えて発表する。)
□ 推論に推論を重ねて考察しない方がよい。
□ グラフ、表の使い方(スタイル)を統一する。
□ 各スライドで知ってもらうべきことは何かを考える。
(最も重要で必要な情報はどれか?)
□ 黒字中に紫、濃い青、濃い緑などの文字を入れても強調されない。
(色の違いがはっきりしない。強調したいなら、はっきり違いがわかる色にする。黒字中なら赤とか明るめの青とか。)
□ 何が重要なのかを考える。どこを議論したいのか、各々の違いは何か?
(培地の成分、培養条件、方法、手順、実験装置、その根拠など、重要な部分を強調して説明する。)
□ 無駄な空白を残さない。
(スライドをぎりぎりまで使わない方がよいが、無駄な余白があるなら、字を大きくするとか、聞き手がイメージしやすいように図を入れるなどする。)
□ 材料や方法で出てくる記号(場所やサンプルの略称など)は使われているか?
(後の結果や考察で出てくるから、記号を使っているはず。後に出てこないなら最初から載せない。)
□ 卒論、修論発表ではおそらく要旨を見ながら聞く人はいない。全員がスライドを見ながら話を聞くものとして作成する。(はっきり言って、要旨を読んでくる人も少数派だと思う。)
□ スペースがあるならページ番号を入れる。聞き手が、今どのあたり(中盤か終盤かなど)なのかイメージしやすい。質疑応答のときに「○ページのグラフで・・・」など質問しやすい。
(「今のページ数/全ページ数」など)
□ 最後にまとめのスライドが必要。
(目的と対応させること。)
□ 「20株中で15株は・・・、3株は・・・1株は・・・」と説明したら、残りの1株も説明する。
聞き手に変な疑問を残させないようにする。
□ グラフの0日目の場所に注意する。
(特に理由が無いなら、左図ではなく右図のようにする。)
□ グラフの目盛りと軸ラベルの部分の両方に、℃や日などの単位が付かないようにする。
(軸ラベルを「培養温度(℃)」としたなら、目盛りは「10 15 20・・・」とする。)
□ 細胞などの写真にはスケールが必要。
□ 全体のバランスを考える。
(タイトル1、背景と目的1−2、方法2−3、結果2−3、考察2−3、まとめ1、謝辞1)
□ 卒論では8分しかない。何が本質かを考える。
(何が言いたいのかを、1文で言ってみる。)
□ ポケットに手を入れながら発表しない。
□ 同じことを説明しているなら、同じ言葉で書く。違うことを指しているなら違う言葉で書く。
(コントロール区と対照区、1倍区と通常施用区など)
□ 相手を想定してスライドを作る。
(卒論発表では、大部分が生態環境の3−4回生)
□ スライドでは、極力、文字や図表に別の文字、図表を被せない。
(アニメーション等で消したり、被せたりしない。)
卒論発表の発表注意点
・卒論発表の練習1回目までには必ずチェックしておくこと。
□ 原稿を作って、暗記し、予定時間内に終わるようにする。
(原稿を暗記するというより、スライドが発表内容のメモ書きになるようにする。
原稿を読むと、目線が原稿にいき、どこを説明しているのかわからなくなる。)
□ 指示語はなるべく減らす。指示語を言うときには必ずスライドの対応する部分を指す。
□ 大きな声で落ち着いてゆっくり話す。
(特に本番では早口になりがちなので注意する。)
□ 卒論発表会で初めて聞く人にとっては、自分ではゆっくりすぎるかなと思うようなスピードでちょうど良い。
□ どのスライドで何分ぐらいかの目安があると安心。
(「方法の説明が終わったところで、3分30秒」とか。あくまで目安なのでぴったりになる必要はない。本番では7分ぐらいで一鈴なので(その時点で予定と違うことに気付いていても修正しにくい)、3,4分でどこら辺を説明しているはずかを知っておくとやりやすい。)
□ 間をとる。立て板に水のように一気に話さない方がよい。
(暗記して、何度も練習すると、慣れてしまってそうなる。強弱や間を意識する。)
□ 8分だと2000〜2500字くらい。
(個人差、漢字の多さで変動するので、かなり大雑把なめやす。自分で台詞原稿を読んで確認する方が確実。)
□ 発表題目(テーマ、タイトル)と氏名も言う。
(司会がタイトル、氏名を言うが、自分でも言うほうがよい。この時間も発表時間に入れる。「タイトルはこれです。」とかは、聴衆に「勝手に読んどいて」という印象を与えて失礼だと思う。「○○○○○というタイトルで□□□□が発表させていただきます。」など。)
□ ローマ字表記の菌名、株名、方法名、物質名などの読み方をあらかじめ確認しておく。
(スライドではローマ字で書いてあっても、原稿にはカタカナで書いておくと便利。特に学名はラテン語である場合が多いので読み方に注意する。)
□ グラフを使うときは、まず見方(縦軸、横軸など)を説明する。
□ スライドを進めながら、ポインタの指すところをイメージして練習する。
(自分のパソコン上でスライドを進めながら、台詞を言い、指やペンでポインタの動きを練習する。)
□ スライド送りを誰がするのかを確認しておくこと。
(係り(普通は3回生)がするなら、ページやアニメーションを進める「次をお願いします。」も台詞の原稿に入れておく。または、係りに原稿を渡し、どこで進めるか(クリックするか)を指示する。係りに予め決めておいた合図を送って進めてもらうことも可能。自分でするならどこで進めるかを決めておく。)
□ 謝辞がある場合は入れる。謝辞も入れて時間内に終わるようにする。
(スライドの最後、「本研究を行うに当たり・・・・(RIセンターとか汽水域とか他の研究室の先生の名前とか)のご協力を頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。」)
□ 同じことを説明しているなら、同じ言葉で言う。
(コントロール区と対照区、1倍区と通常施用区など)
□ 各スライドのタイトルは言うべき。
(少なくとも今から説明するのが、背景、目的、材料、方法、結果、考察、まとめのどれかは言うべき。)
□ 「目的です。」「まとめです。」ではなく「目的を説明します。」「以上のこと(ここまでの研究)をまとめます。」にする。
□ 「えと」、「あの」、「で」などの、無意識に繰り返し話している言葉をなくす。