プログラム細胞死とは

●細胞の活動のさまざまな局面で遺伝子にプログラムされた細胞の死がおこる。ただ単に事故や病気などで偶発的に死ぬのではなくて、細胞自らの遺伝子発現によって、自己を消去するシステムが多細胞生物には備わっている。

●プログラムされた細胞の死は、細胞分裂・分化と並んで生理的な細胞活動である。積極的に自己を消去することにより、組織やからだ全体にとって重要なイベントすなわち分化・形態形成・個体の維持・免疫系や神経系の確立など多くの現象に関わっている。カエルの尾が消失するのもプログラム細胞死の為せるわざである。

●プログラムされた細胞の死は、多くの場合アポトーシスと呼ばれる様式によって死の過程を実行する。アポトーシスの名は1972年病理学者のKerr, Wyllie, Curieらが事故や病気のときにみられる受動的な死の形式ネクローシス(壊死)に対して、それとは異なる死の様相をしめす場合において能動的なプログラムされた死の概念を創出しapoptosisと名付けたことに始まる。つまり自己を除去することが細胞みずからにプログラムされているわけである。また多くの場合アポプト−シスという過程をへて死プログラムは実行されるが、まれにはnecroticに起こるプログラム細胞死もある。

Apoptosisによる死の形態的特徴は、核の分断化、細胞の分断化(アポト−シス小体の形成)、マクロプァージによる貪食・消化である。これに加えて生化学的な特徴としてゲノムDNAのヌクレオソーム単位での切断がある。これらはアポト−シスが起こっていることのマーカーとされている。

●アポト−シス小体とは、細胞膜が壊れることなく細胞が小さな断片になることをいう。これによって、炎症反応を起こすことなく細胞死を進行させ、貪食にも手ごろなサイズにすることができる。

●プログラムされた細胞に関与している遺伝子の発見には、線虫を用いた遺伝学的なmutant解析が大きく貢献している。細胞死にさまざまな異常をきたす突然変異体を解析することにより、ced3(細胞死を実行), ced9(細胞死を抑制)..などの遺伝子が明らかとなった。ced3は哺乳類のice (interleukin 1b-converting enzyme) と相同性があり、今日では細胞死のシグナル伝達プロテアーゼであるcaspase familyとして知られている。ced9は哺乳類の細胞死抑制活性のある癌遺伝子bclと相同性がある。これらの分子の線虫と哺乳類との間の相同性から細胞死の機構が進化のうえでかなり早くから保存されていることが示唆されている。

 

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