無機素材化学研究室では,「新規機能性無機酸化物粒子の合成およびその生成機構と物性の解明」について研究しています。溶液反応による無機酸化物粒子の合成では,条件次第で様々な形態,組成,構造を持つ粒子が生成し,それらは物性に大きな影響を与えます。このような観点から,合成条件と構造・物性の関係を系統的に調査することで,新しい機能性材料を創成することを目的としています。

主な研究テーマは以下の通りです。
(1)新規金属リン酸塩粒子の創製とその表面・界面物性の解明
生体内硬組織の主成分であるアパタイトや層状金属リン酸塩の合成を行っています。さらに表面・界面物性の精密評価,表面設計・改質することで新しい機能を付与することを目的としています。また,新規層状無機-有機ハイブリッド金属リン酸塩の合成も行っています。

(2)鉄および亜鉛系酸化物微粒子の合成とその機能
酸化鉄や亜鉛酸化物は顔料,触媒,磁気記録用微粒子などに広く利用されているばかりでなく,鉄や亜鉛の腐食防食すなわち「鉄さび,亜鉛さび」においても重要な物質です。本研究では,これまで見過ごされてきた「さび」について,その特有のナノ空間や粒子形態,形状を利用した新たな機能性の発掘について検討しています。


(3)粉体廃棄物の高度再生利用
石炭灰やゴミ焼却灰などの粉体廃棄物を機能性材料に変換するための新しいプロセスを開発することを目的としています。石炭灰を用いたゼオライト化については多くの研究がありますが,従来のプロセスでは石炭灰とゼオライトの混合物しか得られません。そこで,石炭灰から利用できる成分を抽出することで,石炭灰のゼオライト化と同時に純粋なゼオライトを合成するための新しいプロセスの開発を行っています。

研究テーマ