夏季ドイツ研修レポート

上山陽介(森林学教育コース3年)

 2014年の9月に2週間ほどの期間をかけてドイツ研修に参加しました。初めての海外で10時間以上も飛行機に乗ったことは初めてで、しかも一人だったのでとても新鮮でした。飛行機では最新の映画が見れたり、機内食(写真-1)も結構おいしかったので楽しく過ごせました。隣の席に座っていた親子の人ともしゃべることができて見ず知らずの人と交流する能力が身についたと思います。


写真-1 日本からドイツでの機内食

 ドイツにつくと、まず空港で迷ってしまいパスポートを見せる場所がわからなくなってしまいました。空港の人に聞いても英語が得意でないので完璧には理解できませんでしたが、なんとなく理解でき、やっとの思いでパスポートを見せました。その次の試練は空港からフランクフルト・アム・マインという駅まで行くことです。案内図などを駆使して駅の場所まで行き、機械で切符を買うのは出来ないと思ったので窓口に行きました。観光ブックの地図を見せながら「I want to go here!」とかわけのわからない英語で必死に伝えたら、理解してもらえて、言葉が通じなくても何とかなるなと実感しました。あとは窓口の人が、何時何分の電車に乗ってください。とか何番ホームに行ってください。何個目の駅で降りてください。と丁寧に案内してくれたので何事もなく無事にフランクフルト・アム・マイン駅に着くことができました。ホテルのチェックインも心配していた割にはスムーズに行けたので少し自信がつきました。

 次の日は米先生と合流して一緒にフランクフルトの観光をしていきました。まず朝ごはんはビールに合うと知られているプレッツェルというパンを食べました(写真-2)。さすがにビールとともに食べることはしませんでしたが、塩辛く味が濃いのでビールと合うだろうなと思います。これは駅で買ったのですがドイツの駅にはパン屋や日本の売店みたいなところがたくさんあってとても賑やかです(写真-3)。またドイツの駅を見て驚いたことは改札がないということです。電車に乗るときも駅員が立っていて切符を見せる必要がありません。ですが、たまに駅員が回って、切符の拝見を行うそうでその時に切符がないととても重い罪になるそうです。あと、これはドイツならではということではないかもしれませんが、駅でパンを買ったとき、ビニールやプラスチックといった容器をあまり使用していないように感じました。先ほどのプレッツェルの写真にもありますが、紙の袋を使っています。環境に対してなるべく優しいものを使っているということが感じられました。あとやはり印象的だったのは教会です(写真-4)。僕は教会に入ったのは初めてなのでとてもいい経験になりました。この研修中に何回か教会に行きましたが、それで気づいたのはどの教会にもパイプオルガンがあることに驚きました。日本の教会もそうなのかはわかりませんが、僕は一 部のコンサートホールでしか見たことがないので新鮮に感じました。この時ではないのですが、この研修を通してできた友達と朝散歩をしていたら、ある教会からミサが聞こえてきて日本とは違う文化や宗教を間近で触れ合えてとてもうれしく感じました。また研修中に宿泊した教会では、出発までの30分くらいの短い時間ではありましたが、ミサをやっているところに入らせてもらえて、神聖なところを見学するという貴重な経験をすることができました。見様見真似でしたが、他の修道院の方がやっているように行動することで、なかなかできない体験ができたと思います。


写真-2 プレッツェル


写真-3 ドイツの駅


写真-4 教会

 また、ドイツのゴミの処分の仕方は日本とは全然違うということに驚きました。特にペットボトルや瓶などの回収方法がいいなと思いました。日本では当たり前ですが、ゴミを出すとお金はもらえません。逆にゴミを出すために処理代が必要です。しかしドイツでは主にスーパーにペットボトルや瓶の回収機(写真-5)があって、そこにゴミを入れます。すると、1本0.15ユーロ程で買い取ってくれます。それは現金ではなくその店で使えるレシートとして出てきて、値引きしてくれるという仕組みです。このような仕組みにするメリットを自分なりに考えてみると、まず住民がゴミを出そうという意識を高めることができ、また僕たちのような旅行者もゴミを出します。次にその店で値引きしてくれることで経済効果を得ることができます。また、実際に僕たちが体験したことですが、回収機が見当たらなかったときにペットボトルや瓶を路上にあったゴミ箱に入れたことがありました。そのあと、その場所を通ったあとに気付いたら、そのゴミだけなくなっていました。多分現地の人が持って行ったのではないかと思います。これを見て、僕たちはゴミと認識していたものは現地の人にとってはお金と同じもので、身近にあるものでお金に困っている人を助けることができるのではないかと感じました。日本にも同じような制度があってほしいと本気で思います。


写真-5 自動ペットボトル回収機

  この次の日から他の大学の教授や学生の人と一緒に行動し始めます。今回の研修はドイツのロッテンブルグ大学(写真-6)の教授の方にいろいろと授業をしていただきました。ほとんどがまだやったことのない授業だったので、多少難しい面もありましたがとても勉強になりました。


写真-6 ロッテンブルグ大学内

 ドイツは日本の緯度より北に位置するので冬はとても寒いです。そのため、ドイツでは暖房の設備としてバイオマスを利用したボイラーを活用しています。この設備はドイツのすべての大学に設置していると教授は言っておられました。大学の下にはバイオマスを入れる空間があり、それを燃やして大学に送っています。約10トンの燃料を貯蓄出来て、1週間で補充するそうです。また、このロッテンブルグ大学ではブラックフォレストの木材を利用して木で作った部屋があり、いろんな木で実験しているそうです。この大学で印象に残っていることは木材を燃やしたあとの灰の処理をどうするかという研究です。現在日本でも原子力発電が停止し、少しでも環境によく、且つ効率よくするために、燃料に多少の木材を混ぜているということを学んだことがあります。何故もっと多くの木材を混ぜないのかを聞いてみると、灰によって機械が壊れてしまうからという理由でした。よって、灰の処理をどうするかを考えていくことはとても大切なことだと感じました。

 僕がこの研修中に一番ためになったと思ったのは間伐する木を決めるという実習です(写真-7)。3、4人の班になってそれぞれの班が考えて残す木、間伐する木を決定します。そして残したい木に黄色いテープを、残した木をいい材にするため に間伐する木に赤いテープを巻きつけて写真に写っている先生に理由を発表するというものです。僕が島根大学でやったことがある実習では、島根大学内の圃場の樹幹投影図と各樹木の胸高直径や木の状態(曲がっているか、傷はついているか等)の情報から選んでいくというものでした。今回ドイツの研修で行ったのは森林に入ってその場で決めるというもので、少し内容が違っていて興味があったのでこの実習が印象に残っています。あまり知識がなかった僕は同じ班の人の意見を聞いて学ぶくらいしかできませんでしたが、僕たちの班が選んだのは少し曲がっているが、太い木材を残し、その周りで太陽の位置などから樹冠の阻害になっているであろう木を3本切るということに決まりました。少し曲がっている木でしたが、その曲がっているところで切ればほぼまっすぐな木材になると考えたので残しました。この考えは先生に賛成してもらえました。島根大学でやった実習では太陽の位置、斜面の向きなどは考慮しなかったので勉強になりました。


写真-7 伐採木決定の実習

 今回の研修ではタワーヤーダーなどの機械を実際に見ることができました(写真-8)。島根大学では、機械について興味が薄くスライドでの勉強だったのですが、ドイツでは実際に動いている機械で迫力を感じました。ドイツは機械の効率が日本よりも優れているらしいのですが、僕にはそこはよく感じられませんでした。ワイヤーを張って木材を運ぶスピードがとても速く、少し乱暴な感じもしました。時間的に早くするため、立木をチェンソーで切るのですが木を倒す前にワイヤーをかけ上へと運んだあと、そのワイヤーを外す前に別の機械でつかんで木を運んでいました。人がなるべく移動しないように、また人数が少ないようにしているそうです。


写真-8 林業機械の見学

 今回のドイツ研修で自分がどれだけ勉強不足なのか、語彙力がないかを知ることができました。また、日本とは全く別の世界を知ることができ、世間の狭さを思い知り、自分の視野を広げることができました。ドイツに行く前は「英語ができないので全く話できないや。どうしよう。」と思ってましたが、現地の人はとても親切で全然喋れていない僕に対して優しく案内してくれたり、教えてくれたりしました。特にホテルのチェックインなどでは何もかもが初めてなので助けてもらって本当に支えられました。今回の研修で出会って知り合った友達とも今後会えるといいなと思っています。急に決まったドイツ研修ですが、費用などをだしてもらった両親や旅の計画に結構無理を言ったりしても考えてくれた米先生に感謝しつつ、研修で学んだこと、感じたことを無駄にしないようにこれからの学生生活に生かしていきたいと思います。

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