繰り返しのある二元配置の分散分析の仕組み(どうやって交互作用を取り出すのか?)

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1.主効果と交互作用,誤差がわかっているとしたら,実際のデータはどのようにしてできるでしょうか?

 データから,主効果,交互作用,誤差を分離する前に,主効果,交互作用,誤差がすでにわかっている場合に,データがどのように成り立つかを考えてみましょう.

 もし,餌の違い,水の違い,交互作用,誤差すべて0だったら,データは2反復ともにまったく同じ値,下のようになります.

ここで水の効果を水道水が0,井戸水が1,深層水が2,蒸留水が-3とします.するとデータは下のようになります(左側がデータ,右側が水の効果).

次に餌の効果をひまわりが-1,大豆が-2,人工餌が3とします.するとデータは下のようになります.(左側がデータ,右側が餌の効果).

次に交互作用を下のようにしてみます.これは組み合わせの妙でヒマワリと水道水ならその組み合わせでさらに3増える,あるいは水道水と人工餌では逆に組み合わせた結果,4減るという交互作用があるとしましょう(左側がデータ,右側が交互作用).

ここまでは反復1と反復2に違いがなく,まったく同じ値です.最後に誤差をランダムにそれぞれに割り当てます.そうすると反復間に差が出ます.結果は以下のようになります(左側がデータ,右側が誤差).

以上のようにして,2反復のデータを得ました.今度はこのデータから,餌の効果,水の効果,餌と水の間の交互作用,誤差をそれぞれ分離してみましょう.

餌と水のそれぞれの効果は繰り返しのない二元配置のところで説明した方法と同じです.2反復の値を平均した値を使って,下のように計算すれば,餌と水の効果をそれぞれ分離できます.

さて,このように分離した餌,水の効果以外の部分が交互作用と誤差の和です.反復がなければ,交互作用と誤差の和のうち,どれだけが交互作用で,どれだけが誤差かは見積もることができません.しかし,今回は反復がありますから,とりだした交互作用と誤差の和を各反復で比較してみると,反復間の差が誤差ではないかと見積もることができそうです.

上にある交互作用と誤差の和を反復間で平均をとると以下のようになります.これが見積もられた交互作用となります.

したがって,残りが誤差ですから,誤差は以下のようになります.

以上の結果をまとめたのが下の表です.

各効果の分散は,それぞれの値を2乗して,すべて足し合わせたものです.以下のようになります.

エクセルで分散分析したときの値と同じですね.
あとは自由度の概念を理解できたら,どんな分散分析もできるようになるはずです.
自由度はわかりにくいので,授業では説明しませんので,興味ある方は実験計画学に関する図書などで勉強してください.

参考までに今回のデータを分散分析した結果は以下の通りです.

今回のデータを計算する過程を載せたエクセルファイル(zip形式で圧縮してあります)です.興味ある方はみてください.