ストレスの定義(岩波書店 生物学辞典 第四版 CD−ROM版からの引用)

障害・ストレスと発育 その1 ストレスの概念と生物的ストレスにもどる
[1] 広く生物の個体あるいは群れにおいて,多少とも圧迫・傷害的な外力によっておこされる歪的状態.植物では乾燥ストレスなど,動物では捕食などによるストレスがある.
[2] 動物体に有害な作用因によりひき起される非特異的・生物的な緊張,すなわちひずみ(stress)のかかった状態.その作用因をストレッサーとよび,寒冷にさらされた場合の生体の反応からこの概念がつくられた.H.セリエ(1936)がストレス説として提唱.ストレスは炎症のように局部的であることもあり,汎適応症候群のように全身的であることもあるが,どの場合にも作用因の種類によらず,つねに同一である生体の反応であり,本来適応的な意味をもつと解される.しかし,ストレスが動物体にとって破壊的に働く面も現われうる.この状態を適応病という.ストレスの際には,視床下部‐下垂体‐副腎皮質系の活動が高まり,これらの器官によるホルモン分泌が増大する(→ストレス説).また免疫系にも影響を与え,したがって生体防御機構などにも変動をおよぼす.