1.種子の発芽
2.数種の作物の果実および種子の構造
マメ科作物は莢の中に数個の種子を作ります.莢は果実に相当し,子房が受精後に膨らんでできます.子房の中の胚珠が受精後に肥大し,種子となります.種皮は珠皮から発達します.胚乳は途中で退化し,栄養を子葉が吸収します.
イネ科作物の種子は果皮と種皮が癒合しており,1つの果実に1つの種子がありますが,果実と種子はほとんど区別できないほどです.胚乳が発達し,デンプンが蓄積されます.
コムギでは種子根が数本出てきますが,イネでは種子根は1本だけで,しかも短命です.
発芽とは種子の中にあった幼芽や幼根が種皮を突き破って出現したときとします.発芽の過程にはしかし,実際には様々な生理的な過程が含まれていますので,目に見える芽の出現だけにとらわれてはいけません.
発芽に対して,土から芽が出現することを出芽といいます.農業的には出芽は重要です.出芽は発芽だけでなく,その後の土の中での芽の伸長も含みますから,さらに複雑です.
出芽には子葉が地上に出るタイプ,ダイズのような地上子葉型(epigeal型)と子葉が地下に残るタイプ,エンドウのような地下子葉型(hypogeal型)があります.
地上に子葉が出ると鳥に食べられそうですし,地下に残ると地下の虫や菌に冒されそうです.それぞれのタイプは生育する環境に適応して,決定しているのだと考えられます.