第4回 中国江蘇省南京での水稲高温不稔調査

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夏季の気温が上昇すると水稲生産にどのような影響があるのかを調査しに,中国でも夏の暑さが特に厳しい南京まで行きました.7月25日から調査を開始しましたが,最初はさほど暑くはなりませんでした(といっても人間にとってはじゅうぶん暑かったですが,イネが不稔を起こすほどではありませんでした.
 8月始めに台風が来ました.その後は気温がどんどん上昇し,下のグラフのように最後の数日(13日に帰国)は35度を超しました.イネの不稔には38,9℃まで上がってほしかったのですが・・・なお武漢では40℃近い気温が連日続いていたようです.
 調査地点は江蘇省農業科学院糧食作物研究所にある網室です.雀よけの網室の下にコンクリート枠の水田(深さ90cm)がいくつもあります.
 おもにハイブリッド水稲の研究でよく知られた研究所ですので,栽培されている水稲はほとんどがハイブリッド水稲あるいはその関連の品種です.
網室を外からみたところです.
 ここ数年,シマハガレ病の被害が大きくなっているそうです.左は網室のコンクリート水田で,上は近くの実験水田でみた病気の状況です.
 2003年に江蘇省で水稲の高温不稔が発生したときに強い品種だった小麻占です.
2003年の高温のときにジャポニカで高温に強いという結果が得られた関東194号です.
 あきたこまちの花です.
 現在もっとも多収のハイブリッド品種二優084です.柱頭が紫色をしています.現地の評価ではあまり高温には強くないそうです.でも出穂が遅い(8月10日以降)なので現実にはいちばん暑い時期には花が咲かないようになっています.
 多収品種であるハイブリッド品種が高温に強いのか?弱いのかは重要な問題です.
 高温に強い品種に中には朝早く咲くことによって,高温を回避する性質の品種もあります.今回,使った品種の中で小麻占は早起きな品種で,日によりますが,早いときには朝6時頃に開花しました.ジャポニカの場合,11時から12時頃に開花します.
 左の写真はデジカメを使って,数分おきに連続撮影して,花の咲く時間を調査しているところです.
ミルキークイーンの花です.