植物発育論 第11回 発育の量的な表現方法とその応用 予習のページ

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おまけ(予習ではないですが,授業後などに参考にみてみましょう).
1.人間の一生には大きな節目がいくつかあるように植物の一生にも大きな節目と考えることができる段階(発育段階)があります.
(1) 植物の一生にとって重要な節目(発育段階)について思いつくものを列挙しましょう.
桜前線研究所へのリンク
このはなさくや図鑑から開花のしくみへのリンク
生物季節観測について,気象庁へのリンク
平成18年の桜の開花予想,気象庁へのリンク

2.開花予想ができるとイネ,コムギ,ダイズなどの作物栽培において何か利点があるのでしょうか?考えられる利点を列挙しましょう.以下のホームページを参考にして考えてみましょう.

飼料イネでは出穂期(開花する時期)などが重要なようです.なぜでしょうか?
京都大学作物学研究室のホームページで左のフレームにイネ出穂期シミュレーションがあります
東北地方の冷害予測システムのホームページです.イネは開花に先立つ2週間ほどまえがもっとも寒さに弱いようですが・・・
予習のプリント(PDF)

植物の一生を通して,目立つ変化を考えてみましょう.人間の場合の大きな節目,入学,卒業,就職,結婚,還暦などと対応させて考えてみるのもよいかもしれません.

(2) 人間の一生の大きな節目には年齢を重ねると自動的に迎えるもの(七五三,小学校入学)もあれば,一定の条件を満たさないと迎えられないもの(大学卒業,就職)もあります.(1)で列挙したものの中から,植物において一定の条件を満たさないと迎えられない発育段階とどのような条件を満たしたらその発育段階を迎えることができるかを説明しましょう.

第8回 花成と環境の授業を思い出すのがいちばん簡単だと思います.
それ以外の発育も環境の影響を受けています.

ジャガイモ塊茎形成も日長の影響をうけます(北大幸田先生のホームページ)

(1)で列挙した植物の発育段階がどんな条件を満たすと迎えることができるかをインターネットなどで調べてみましょう(本を調べるのがいいですが,慣れないとかなり大変なので)
例えば,紅葉,光周性の2つのことばで検索してみましょう.

1.毎年,サクラの開花予想をテレビや新聞などのメディアが報道しています.サクラの開花予想の説明をしているホームページ(桜,開花予想を検索するなどして探す)を読んで,その方法を自分なりに理解して,まとめましょう.
2.植物は環境に対する反応をグラフにして表すことは,量的に記述するための第一歩です.代表的なグラフのパターン3つ(A,B,C)を以下に示しました.それにA,B,Cにあてはまる,環境に対する植物の反応を考えてみましょう(例:気温と光合成).

 環境に対する生物の反応を数式で表すことができれば,もし環境が変わったときに生物がどのように反応するかを予測することができます.例えば,地球温暖化で気温が上昇したらどうなるかを予測できます.農業においても栽培の仕方を変えることは作物から見れば環境が変わることになりますから,例えば土の中の肥料由来の養分が増えたらどのように成長が変わるかを予測できます.
 しかし,環境と生物の関係についてデータを集めて,それに適合する数式を作るだけであれば,コンピュータでできますし,数学的には複雑な数式を使えば,当てはまる数式を作るのは簡単です.しかし,そのような複雑な数式は単に数式に当てはめただけで,環境に対する生物の反応の本質を示すものではありません.
 環境に対する生物の反応を数式に表す前にグラフに示し,そのグラフからできるだけ単純な関係を見つける方が,見通しがよくなります.環境に対する生物の反応には多くの誤差や未確認・未発見の要因などが混ざっているからです.

ヒント
1.まずグラフの横軸(x軸)は環境要因です.数値で表せる環境要因を考えてみましょう.
 例:気温,水温,湿度,太陽エネルギー(日射量),風速,窒素量,病原菌密度,オゾン濃度,二酸化炭素濃度・・・・などいくらでも考えられます.

2.3つのグラフの特徴は以下の通りです.
A.ある要因が強くなれば,強くなった程度に比例して反応する 人間でいえば働いた時間が増えれば,それだけ給料も増えます.なお生物では環境要因に上限や下限があるのがふつうですから,直線関係をある制限した範囲内だけで考えることもふつうです.したがって,B,Cに相当する場合でも部分的には直線関係がほぼ当てはまるなら単純化のために直線関係で示すこともあります.例えば,ジョギング時間と消費カロリーはだいたい直線関係になるでしょう.

B.最適な条件がある場合,Bのグラフが適当です.例えば,人間にとって温度が低すぎても高すぎても困ります.温度以外にも養分が少なすぎても多すぎても植物の成長はおかしくなります.そうするとBのグラフでは横軸に気温あるいは摂取カロリーを取れば,縦軸を人間の健康度とすることができます.そのような例を植物で考えてみましょう.

C.ある要因が強くなると,反応も強くなるけれども,要因が強くなるほど,反応の増加は鈍くなるのがCのグラフの関係です.光合成速度は光が強いほど高くなりますが,光がある一定程度強くなるとほとんど光合成速度は高くなりません.このように要因が強くなると反応がほとんど変わらなくなる(飽和するといいます)関係を示します.これも生物の反応ではよくあるパターンです.