二項分布の一般式による計算方法

 エクセルのBINOMDIST関数を使えば,二項分布の一般式を知らなくても二項分布の計算はできます.しかし,一般式の意味を理解すれば,より二項分布を深く理解できますので,ここでは二項分布の一般式による計算方法を紹介します.

ここで二項係数
二項分布の一般式は以下の通りです.
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 下のエクセルシートではさいころを10回振ったときに1が何回出るかをエクセルで求める計算式です。ここではn=10, p=1/6であり、確率変数xは0〜10をとります。
 エクセルではCOMBINという二項係数を求める関数があり、これを利用すると二項分布の計算を上の式からできます.

それでは一般式はどのようにして導かれるのでしょうか?最初は具体的な例を使って考えてみましょう.

例:当たりくじが0.15の確率で入っているチョコレートを5個買いました.当たりが5個入っている確率はいくらでしょうか?
続いて,当たりが0個入っている確率は?さらに1個,2個,3個,4個入っている確率は?

とりあえずすべての可能性を総当たりして,確率を計算してみましょう.

当たりの数5,4,3,2,1,0で整理すると以下の通りです.

それぞれの当たりの数について,すべての該当するケースの確率を足すと当たりの数に対する出現確率が計算できます.以下の通りになります.

当たりの数が例えば2のときのそれぞれのパターンの確率は皆同じで,0.0138であり,2となるパターンは10個あるので,当たりが2つ出る確率はあわせて,0.138となります.

ここで二項分布の一般式を見ますと,後半の部分px(1-p)n-xがそれぞれのパターンにおける確率を表し,前半の二項係数nCxが当たりの数それぞれに対するパターンの数を計算していることがわかります.

後半の部分は上の表をじっとにらめば,なぜそういう式になるかわかると思います(ちょっとは努力しましょう).

前半部分の二項係数は組み合わせを計算するときの計算方法と同じです.nCxとは,異なるn個のうちから,x個をとってできる組(x個の中の順序は考えません,順序を考えるときは順列nPxです)の数です.

ここでは5回くじをひきます.その5回をA,B,C,D,Eと名付けると,例えば2回だけ当たるのは,そのAからEの中から2つ選ぶ組み合わせとおなじことがわかります.したがって,二項係数を前半に使うということになります.